frower2018年  3月のフィールドノートから

*3月4日 湯湾岳
 コゴメキノエランは台湾以南の東南アジアに自生するランで、国内では奄美大島の湯湾岳周辺のみで生息が確認されている。そのため国内希少野生動植物種に選定されている貴重
な着生ランだ。例年真冬の1月頃花期を迎えるが、今年は遅く、3月頭のいまもまだ花が咲いていると聞いて、出かけてみた。天気は晴れなのに、湯湾岳山頂付近は霧に覆われて薄ら
寒い。さすが雲霧帯の森だ。コゴメキノエランはたしかにまだ咲いていたが、もう花期も終盤というところだろうか。この着生木にはもっと低いところにもコゴメキノエランが着いていたのだ
が、何者かによって持ち去られたという話も聞いた。いまも希少植物の盗掘盗採はなくならない。野にあってこそ美しい花を、どうして自然の中で楽しもうとしないのだろう。悲しいことだ。


▲花期も終盤のコゴメキノエラン。


*3月15日 龍郷町長雲峠
 すっかり春めいてきた自然観察の森では、ルリカケスがシイの洞へ出入りしている。おそらくここに営巣しているのだろう。少し離れた場所では別のルリカケスが地面からなにかを拾い
上げて横枝に止まった。と思うと、足で拾い上げたものを押さえつけ、さかんについばみはじめた。望遠にして撮影してみると、なにやら木の実のようである。シイの実にしては大きく見え
るが、アマミアラカシのどんぐりだろうか。ふだんは騒がしいルリカケスもエサを探したり食べたりするときはとても静かで、注意深く探さないと見つけるのが難しい。


▲ルリカケスがなにかをついばんでいる。


▲どうやら木の実のようだ。


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