frower2011年  4月のフィールドノートから

*4月13日 龍郷町秋名
 季節は春。鳥たちが移動を始める季節である。なにか面白い渡り鳥でも立ち寄っていないだろうかと秋名の水田地帯を訪れた。が、考えてみればこの時期、奄美では
田植えの最盛期である。農家の方々の姿があちらこちらに散見でき、とても鳥がゆっくりと休憩できる環境ではなさそうだ。そんな中、ひときわ元気なのがスズメである。
奄美は水田が少ないせいもあってスズメの数は決して多くない。群れを観ようと思ったら、ここ秋名に来るのが一番確実なのだ。スズメが水田脇の畑におりてさかんに
騒いでいると思ったら、砂浴びの最中だった。乾燥した畑の土に浅い穴を掘り、その中でさかんに体を揺すったり、翼をばたばたさせたりしている。1羽が始めると、われ
もわれもと競って始めるものだから、騒々しいこと賑やかなこと。体の寄生虫を駆除して、羽毛を清潔に保つための行為とされているが、砂浴び中のスズメは確かに温
泉の湯治客を彷彿させるものがある。


▲掘った穴の中に体を埋め、気持ちよさそうに砂浴び中のスズメ


*4月19日 奄美市笠利町宇宿
 宇宿漁港にタヒバリを探しに来た。というのも、1週間前にここでコマミジロタヒバリらしき個体を観たからで、それを確認しようと勇んで来たのだが、冬の間ずっといたム
ネアカタヒバリも渡りの時期に立ち寄るタヒバリもマミジロタヒバリもいない。みんな北へ向けて旅だったようだ。そういえば一週間前にはたくさんいたツグミたちの姿も見
えない。すっかり寂しくなった埋め立て地をあとにしようとしたところ、デイゴの枝先に動く影が。双眼鏡で覗いてみると、ノビタキである。オスの成鳥で、すでにすっかり夏
羽へと衣替えしている。これから本州、あるいは北海道あたりまで渡るのだろうか。十分に餌をとって、エネルギーを蓄えてから渡ってお行き。


▲頭が真っ黒になったノビタキのオス



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