frower2004年  1月のフィールドノートから

1月5日(月) 曇り 湯湾岳
 
12月中旬から三週間も島を留守にしていたら、奄美が恋しくて仕方なくなってしまった。ということで、帰島早
々湯湾岳に行ってみた。この山は信仰の対象なので、正月は登山客も多い。そのために登山道の両脇の草が
きれいに刈られている。登山者の便宜をはかったものだろうが、きれいに刈りすぎなのではないだろうか。湯湾
岳には植物の固有種・希少種も多いので、無闇に草刈するのは危険なのだが。
 正月らしくセンリョウやマンリョウの赤い実がいたるところに見える。頭上にはサクラツツジが淡いピンク色の花
を咲かせ、足下にはユワンツチトリモチの紅色の花がキノコのような形で姿をのぞかせている。長袖1枚で汗もか
かずにちょうどよい気候。登山にはこの時期が一番向いているかもしれない。
 下山途中、足元に糞虫を発見。この山にはマルダイコクコガネというマニア好みの珍虫が棲んでいるので、そ
やつかと期待して観ると、明らかに小さい。しかもマルダイコクコガネは飛べないが、こいつは今にも飛ぼうという
姿勢である。腐肉に集まるアマミエンマコガネであった。


▲地上を徘徊するアマミエンマコガネ。


1月18日(日) 晴れ 笠利町宇宿漁港
 
大瀬海岸、宇宿の農耕地と鳥を探して回ってみるが、いまひとつめぼしい鳥がいない。漁港のほうはどうだろ
う。ここの空き地にはときおり鳥が入ることがあるので、要チェックなのだ。
 期待して見渡すが、ハクセキレイとイソヒヨドリくらいしか見当たらない。引き返そうとしたとき、30羽ほどの小鳥
の群れが飛来した。ピッピと鳴いているのはタヒバリ、チーのほうはムネアカタヒバリに違いない。鳥たちが舞い降
りた地点にそっと近づいてみる。いるいる。2種がちょうど半々くらいの割合で混じっている。おどかさないように、
デジスコで撮影をした。


▲ムネアカタヒバリが水溜りに集まって、これから水浴びするところ。


1月25日(日) 曇り 名瀬市古見方
 
珍しくノスリが飛来している。奄美の冬の猛禽はサシバとチョウゲンボウばかりで、それにミサゴとハヤブサが
交じるくらいであるが、空に他の形の飛翔影を見ると嬉しくなる。翼角に三日月型の黒班のある幅広の翼を眺め
ながらかすみ網を張った。
 何度も書いている通り、この冬は鳥が少ないので、バンディングも期待薄である。アオジやシロハラさえ捕まえ
ていない。そんなことを考えているうちにブッシュの中に隠れていたアオジが網にかかる。オス1羽にメス4羽。た
いした数ではないが、10ヶ月ぶりのアオジに満足する。ほどなくしてシロハラも1羽かかった。こうでなくっちゃ。そ
の他、ウグイス、ノゴマ、セッカ。少しは冬鳥の数も増えたようだ。

 

フィールドノート トップへ