2月27日(水)晴れ 瀬戸内町白浜
きれいな満月の夜。晧晧と輝く月に誘われてナイトウォッチングに出かけた。冬の大潮の
夜は干潮時の潮位がとても低くなり、潮溜まりの生物を観察するのにもってこいの機会なの
だ。干潮のピークは深夜1時頃なので、それまでは林道を走って時間つぶし。今夜はとても
アマミヤマシギが多い。ひと晩で30羽は軽く観た(なかにはただのヤマシギが混じっていた
かもしれないが)。冬の間拡散していたアマミヤマシギたちが繁殖期を前に集結しはじめた
のか。いまだに行動には謎の部分も多いので、継続中のテレメ調査の結果が待たれる。
さて、目指す白浜には0時半頃到着。海の中にはぽつりぽつりと明かりが見える。引き潮に
逃げ遅れたタコや貝を採取するイザリ漁を楽しんでいる人たちの照明だ。ボクも遅れじと着替
え、海に入る。冬の海といっても海水温は20度を下回らないので、冷たくはない。今夜は大気
温も高めなので、なかなかに快適である。イザリ漁の人たちは砂地とリーフの境目辺りを探し
ているが、それを尻目に磯だまりへ向かう。さて、どんな魚が見られるだろうか。
さっそくゴンズイの稚魚を発見。この魚はナマズの仲間なのでひげがある。五センチに満た
ないサイズの稚魚たちが集まって、いわゆるゴンズイ玉を作って泳いでいる。黄色いストライ
プがおしゃれな感じであるが、うっかり手を出そうものなら、ヒレの棘にたくわえた毒で大変な
目に会う。注意注意。
リーフの間には、いろんな魚が取り残されている。赤いベラのような魚や、体が丸みを帯び
たウミタナゴ似の魚、口先を突き出したカワハギみたいな魚もいる。もっと魚の名前がわかれ
ば楽しいだろうと思う。あ、ボクにもわかる魚がいた。クマノミだ。イソギンチャクから離れて、お
どおどと泳いでいる。わかるといっても、クマノミにも何種類もいる。クマノミだということまでは
わかっても種まで同定できないのが哀しい。
砂地に出てみると、平べったい魚がいた。カレイ、それともヒラメ? 口が左にあるのでヒラ
メの仲間であろう。本当に底砂とそっくりの体色をしていて、改めて見事な保護色に驚かされ
る。感心していると、足下を小型のタコがすっと泳いでいった。イザリ漁でみんなが狙っている
スガリというタコだ。ボクも慌てて影を追うが、相手はすでにリーフの中に隠れた後だった。
▲ゴンズイの稚魚。うっかり手を出すと、毒で痛い目にあう(経験アリ)。
▲クマノミの一種。オレンジとホワイトの大胆なコントラストが美しい。
▲口が左にあるのでヒラメの仲間。砂地で探すのは相当に難しい。