10月14日(日)晴 古見方
秋名の探鳥会の後、有志が集まってミミズ採集を行うことにした。冬行う予定のアマミヤマ
シギ捕獲作戦へ向けて、エサとなるミミズをいまのうちから養殖しておこうというハラだ。古見
方で畑作をされている農家の方の好意により、堆肥の下のミミズを分けていただくことになっ
た。山と積まれた堆肥を取り除いてみると、下からミミズやコガネムシの幼虫がどんどん出て
くる。拍子抜けするほど簡単にミミズは集まった。そのとき森田さんが堆肥中から巨大なイモ
虫を掘り出した。コガネムシの幼虫よりはるかに大きく、体長は7センチほどもある。
奄美大島には通常のカブトムシはいないようなので、おそらくタイワンカブトムシの幼虫だろ
うということになった。タイワンカブトムシはカブトムシのように二股に分かれた角ではなく、短
めの一本角を持つため別名サイカブトと呼ばれ、成虫はサトウキビを食い荒らす害虫である。
こいつはいくらなんでもアマミヤマシギのエサには大きすぎるので、5頭ほど持ち帰り育ててみ
ることにした。さて、来年の夏、無事に成虫に育つことやら?
▲巨大なタイワンカブトムシの幼虫
10月31日(水)晴 篠川
自然や生き物に魅せられて奄美を訪れる人は多い。バードウォッチャーに昆虫採集家、ダイ
バーや大物狙いの釣師、さらには植物愛好家。しかし魚捕りが目的という人は少ないのではな
いだろうか。今回奄美へいらっしゃった荒俣さんと佐藤さんの趣味は観賞用小魚の捕獲と飼育。
大きな魚や美味そうな魚には見向きもせずに小魚を追いかける。確かにそれらの魚は色が美
しかったり形が不思議だったりして見ているとなごむ。それにしてもわざわざこんな魚を捕まえ
に東京から……と感心。なにしろ熱帯魚屋さんでも扱わないような商品価値の低い小魚なの
で、自分たちで捕まえる以外に飼いようがないのだとか。本当に好きじゃなければできません。
昨日は北部を回ってそこそこの成果が出たので、今日は南方面を回るとのこと。同行させて
もらうことにした。目指す場所は篠川と聞いて、白浜のサンゴ礁のあたりかと思いきや篠川湾
のちょっと先が目的地だった。到着するなりウェットスーツに着替え、特製の網を持ってさっさ
と海に潜るふたり。こんな普通の海に面白い魚がいるんだろうかとぷかぷか浮かんだふたり
を尻目に渚を歩いていると、小さなムシが海面を泳いでいるではないか。ウミアメンボの一種
だ。さっそく金魚網ですくう。
にんまりしていると、ふたりが海からあがってきた。浅くて濁った海なのに、海中は魚が豊
富なようで、何種類かの小魚を捕まえており、ケースに入れて誇らしげに見せてくれた。お
返しにウミアメンボを見せてあげたが、ふたりにはぴんとこないようであった。ひょっとしたら、
一番マニアックなのは……?
▲荒俣さんが捕まえた小魚。上がセグロチョウチョウウオ、下がミスジチョウチョウウオ
▲コガタウミアメンボ。体長3.5ミリ。