第29回オオトラツグミ一斉調査について
〜奄美中央林道で108羽、全域では252羽確認〜

 1994年から奄美野鳥の会が中心となり、島内外の多くのボランティア調査員の方々のご協力のもと進めてきたオオト
ラツグミ一斉調査は、2022年3月で29回目(29年目)を迎えました。昨年に引き続き、奄美中央林道を中心とした一斉調
査を実施し、補足調査は主要な林道に限って実施することで、可能な限り調査精度を上げることに努めました。また、今
後生息域を広げる可能性も考えられることから、今回も引き続き北部の笠利町喜瀬地区や土浜地区方面、鍋比林道な
どでも実施しました。さらに今後生息域を広げる可能性も考えられる加計呂麻島の一部でも実施しました。
 第29回オオトラツグミ一斉調査は、3月20日(日)に奄美中央林道全域のほか、スタルマタ林道(〜西仲間)、住用ダム
線、油井岳林道などで実施しました。調査には、一斉調査の一日だけで130名のボランティア調査員の方々の
参加をいただきました。この20日の一斉調査の結果では、オオトラツグミのさえずり個体数164羽(うち中央林道は108羽)
を確認することができました。
 第29回一斉調査と補足調査(ICレコーダーにより調査を含む)を合わせたさえずり個体の総数は、第28回の209羽(のべ
調査地点数126)より45羽多い、252羽(のべ調査地点数120)となりました。今回は前年よりも調査地点が6地点少なかっ
たにも関わらず、45羽多く確認されたことは、個体数が再び増加に転じていることを示しているものと思われます。
 長年にわたり継続調査している奄美中央林道でみると、今回は前年より10羽多い108羽が記録されました。これまでの調
査で最も多かった2016年の106羽を抜き、過去最高の記録となりました。
 補足調査では、前年に3羽が確認された市理原では、今年は5地点の調査により、5羽のさえずり個体が記録されていまし
た。北部の笠利半島および南部の加計呂麻島ではさえずり個体はまだ確認されませんでした。
 今回も、多くのみなさま方のご協力とご理解があって、無事に調査を終えることができました。ボランティア調査員とし
て調査に参加されたみなさま、ご支援をいただきました行政や諸団体および個人の方々、調査資金にご寄付いただいたみ
なさま方に対し、改めて心から深く感謝いたします。 ご支援、ご協力ありがとうございました。

                              特定非営利活動法人 奄美野鳥の会
                                   オオトラツグミさえずり一斉調査実行委員会


●2022年(第29回)オオトラツグミさえずり個体調査結果

調査地   120箇所
確認羽数  252羽
調査員   221人(のべ人数)


●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移

奄美中央林道 その他 合 計
1990 24羽 1羽 25羽
1994 40羽 14羽 54羽
1995 18羽 14羽 32羽
1996 18羽 11羽 29羽
1997 27羽 14羽 41羽
1998 21羽 17羽 38羽
1999  調査方法変更 28羽 72羽
44羽
2000 25羽 36羽 61羽
2001 40羽 34羽 74羽
2002 40羽 37羽 77羽
2003 43羽 61羽 104羽
2004 42羽 84羽 126羽
2005 68羽 103羽 171羽
2006 47羽 118羽 165羽
2007 78羽 171羽 249羽
2008 47羽 180羽 227羽
2009 51羽 225羽 276羽
2010 32羽 262羽 294羽
2011 45羽 288羽 333羽
2012 59羽  296羽  355羽 
2013 96羽  426羽 522羽 
2014 85羽 調査方法変更 
215羽 300羽 
2015 73羽 241羽 314羽
2016 106羽  230羽 346羽
2017 54羽 191羽 245羽
 2018  79羽  234羽  313羽 
2019 102羽  279羽 381羽
2020  102羽  179羽  281羽 
2021  98羽  111羽  209羽 
2022   108羽 144羽  252羽 

「奄美中央林道」は、里林道、金作原林道を含む奄美市里(始点)から宇検村大畑出口(終点)までをいい、ルートセンサスによる調査。
1998年までは数日かけて調査をおこなったが、1999年以降は同日に一度で調査を行っている。
「その他」は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年
以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。2014年以降、奄美中央林道と一部の林道のみにしぼって調査。
*表は、Strix vol.15.1997「.オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会」に1997年以降の結果を加えて作成。



 奄美中央林道での調査では、昨年より10羽増えて108羽となった。これは、最も多かった2016年の106
羽より2羽多く、過去最高の記録となった。全調査地域では、前回より調査地点が6地点少なかったにもか
かわらず、全体の確認数は前回より44羽多い259個体となった。また、前回3羽のさえずりが記録された市
理原地区では、今回は5羽が確認された。さらに北部地域の喜瀬・土浜・鍋比地区や南部の加計呂麻島で
は、さえずり個体は今回も確認されなかった。


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