奄美の野鳥 固有種・固有亜種 (南西諸島産、貴重種含む)


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スズメ目カラス科
ルリカケス 天然記念物 
鹿児島県県鳥
 奄美を象徴するような美しい鳥で、奄美大島や加計呂麻島、請島にすんで
います。原生的な森林から少し若い林などにも現れ、人が近づくと「ギャー、
ギャー」と大きな声で鳴き、仲間に知らせたりしますが、あまり警戒してい
ない時は「クィー、クィー」とか「クォー、クォー」など、かわいく鳴くこ
ともあります。1月下旬位から早々と巣作りに取り掛かり、繁殖が終わると
よく少数で群れを作っています。
ootoratugumi
スズメ目ツグミ科
オオトラツグミ 天然記念物 危急種(絶滅危惧U類)
奄美大島の原生的な森林の限られたところにすんでいて、個体数が非常に
少なく、絶滅が心配されています。奄美では冬鳥のトラツグミと鳴き声が全
く違い「キョロンツィー」と明るい澄んだ声でさえずります。まだ薄暗いう
ちに活動し、原生林の谷部などの地上でミミズや昆虫類などをたべています
が、詳しい生態などについてはよく分かっていません。
ohosutonooakagera
キツツキ目キツツキ科
オーストンオオアカゲラ 天然記念物 危急種(絶滅危惧U類)
日本のオオアカゲラの中では、最も大きく黒っぽい亜種です。老木の幹や
枯れ枝に縦に止まり、くちばしで突いてカミキリムシの幼虫などを取り出し
て食べます。また、木の幹に穴を掘って巣を作り、子育てをします。そして
特に繁殖の時期などには、枯れ木などをくちばしで連続的に突くドラミング
とよばれる行動をします。奄美大島(本島)だけに生息していて、数も少な
く絶滅が心配されています。(写真は♂)

チドリ目シギ科

アマミヤマシギ  危急種(絶滅危惧U類)
 夜行性の鳥で、森林の林床や林道脇などで長いくちばしを土の中に突き刺
して、ミミズなどを探して食べています。奄美大島や徳之島などに生息し繁
殖していますが、冬季には沖縄本島などへ移動していく個体もあるようです。
ヤマシギに比べ、脚が少し長めで前傾姿勢をとり、飛ぶときの鳴き声も違い
ます。最近は車にひかれる場合もあり、移入種・マングースやノネコなど
の影響も受けているものと思われます。

akahige
スズメ目ツグミ科
アカヒゲ   天然記念物 危急種(絶滅危惧U類)
 
体の上面が赤く、鳴き声もきれいなスズメ大の美しい鳥です。通常はよく
茂った林の谷間などの薄暗いところにすんでいて、明るい所に出てくること
は少なく、時にアダン林やサトウキビ畑の中などにいることもあります。雄
は顔の半分下から胸にかけて黒色をしていますが、雌は黒くありません。奄
美大島や徳之島などに生息していて、森林の少ない喜界島や沖永良部島、
与論島には生息していません。(写真は♂)
 

ハト目ハト科
カラスバト   天然記念物 希少種(準絶滅危惧)
 全身が黒いハトですが、首の周辺に紅紫色や緑色の金属光沢があり、足
は赤色です。鳴き声が牛に似ていることもあり、奄美ではウシバトと呼ばれ
ています。他のハトの仲間に比べ、尾が少し長めで、全身がスマートに見え
ます。人が近づくと「ガルルル、ガルルル」と警戒鳴きしながら、上空を飛び
回ったりします。木の実や若葉などを食べ、時に地上に降りて落ちた実を探
すこともあります。奄美全島に生息しています。

ハト目ハト科
ズアカアオバト
 全体に暗緑色のハトで、くちばしはコバルトブルー、足は赤色です。「ポ
ーポーペポー」と尺八のような不思議な声で鳴き、もっぱら木の実や若葉な
どを食べています。ズアカといっても頭が赤いわけではなく、台湾にいる同
種の亜種の頭が赤味を帯びているために、この名前がついています。梅雨
頃には、群れでいる場合も多く、よく農耕地付近などにやってきます。

コウノトリ目サギ科
リュウキュウヨシゴイ
 ヨシ原や水田などの水辺にすんでいて、カエルや昆虫、魚などを捕らえて
食べています。雄は赤かっ色でのどの中央に太い縦じま模様があり、雌は
全体に赤味が少ない茶色で、のどには数本の縦じま模様があります。人が
近づくと、長い首をまっすぐに伸ばしたままじっとしいて、まわりの草むらに
似せた擬態のポーズをとることがあります。最近は水田や湿地の減少など
で数が少なくなっているようです。(写真は♂)
mihuuzura
ツル目ミフウズラ科
ミフウズラ
農耕地やサトウキビ畑などにすんでいて、草むらの中からなかなか姿を見
せず、観察しづらい鳥です。全身が茶色の複雑なしま模様をしていて、雌は
のどが黒く、雄は黒くないので区別することができます。また、雌の方が雄
に求愛し、卵を温めたり子育てをするのも雄のほうで、普通の鳥の雌雄の役
割が逆になっているというおもしろい習性をもっています。(写真は♀)

フクロウ目フクロウ科
リュウキュウコノハズク
 春から夏にかけて、よく山のほうで「コホッ、コホッ」と鳴いています。全
身がかっ色の複雑な模様をしていて、目が 黄色で全長約20cmぐらいの小
さなフクロウです。老木の樹洞などで子育てをし、昼間は森の中でじっとして
いますが、夜になるとセミや昆虫などを捕らえて食べています。奄美大島や
徳之島などに生息していますが、森の少ない喜界島や与論島には生息して
いません。(写真は幼鳥)
ryukyuutubame
スズメ目ツバメ科
リュウキュウツバメ
奄美群島全域で留鳥として生息し、繁殖しています。ツバメに似ています
が、ツバメより尾が短く、下面は灰色をしています。川や湿地の近くにすん
でいて、人家や橋げたなどに泥などでおわん形の巣を作り、子育てをしま
す。繁殖期以外よく群れている場合が多く、電線などに並んでいる姿を見
る最も身近な鳥のひとつです。

チドリ目カモメ科
ベニアジサシ 危急種(絶滅危惧U類)
 全身が白っぽく、頭に黒いベレー帽をかぶり、くちばしと足が赤いスマー
トな鳥です。初夏の訪れとともに南から渡ってくる夏鳥で、よく海岸の岩礁
などで群れで休んでいる姿を見ることもあります。海上を飛び回りながら、
空中からダイビングして小魚などを捕らえて食べます。また求愛のため雄が
雌に捕らえた魚をプレゼントしたりします。(写真は親子)

チドリ目カモメ科
エリグロアジサシ 希少種(準絶滅危惧)
 全身が白っぽく、ベニアジサシに似ていますが、目から後頭部にかけて黒
い1本の模様があるだけで、くちばしと足も黒色です。夏鳥でベニアジサシ
と一緒に群れをつくる場合もあり、海上で空中から盛んにダイビングを繰り
返し、小魚などを捕らえています。島口(方言)で「イキュン(エリグロア
ジサシ)のムィマユ(目眉)」と言い、美人のたとえがあります。

       

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