橋本武夫先生(聖マリア病院母子総合医療センター長)の
子育て講演会から
●1歳までは「お腹の赤ちゃん」と同じような環境を
猿の赤ちゃんをはじめ他の哺乳動物の赤ちゃんは、生後短い期間で、自立して歩くことが可能ですが、人間の赤ちゃんは、1歳までは自分で歩くことも出来ません。歩けるようになるまでの1年間は準胎児といえるのです。
ですから、生まれてから1歳までの育児はお腹の中にいるときと同じような状態で、赤ちゃんの世話をすることが大切なのです。
1. しっかり抱いて
2. 語りかけて
3. おっぱいを飲ませる
これが乳児期の大切な育児の三原則ですね。
この1年間は、この「抱いて、語りかけて、おっぱいを飲ませる」という当たり前の育児の中でしっかりとした“母と子のきずな”を作っていく時期なのです。お互いの基本的信頼感が形成されていくのですね。
まさにこの1年間の母と子の信頼関係がすべての愛の出発点となり、また、赤ちゃんが大きくなって何かあったときいつでもそこに飛びこんで帰ってこられる、そんな後の一生における心の故郷ともなるのです。
●母乳育児は子育ての原点です
子育ては乳児期だけで決まるわけではありません。その後もお母さん・お父さんとの関わり、周りからの働きかけなど、たくさんの要素が関与して子供が育っていくのは疑いないことです。
しかし、哺乳動物たちの「心と体」の発達の原点は「授乳」から始まることを見つめ直すことが重要です。人間もその仲間である以上、「おっぱいを飲ませる」ことがとても大事なことなのです。
最近多くの経験から、社会・心理学的にも認められつつあります。
母乳育児は、人間を育てるためのやさしさの原点であることが最近わかってきました。育児の原点です。「おっぱいを飲ませる」という行為は、母乳育児という栄養だけではなく、もっと大きな意味を持つことを知ってください。
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