歯周病は早産の一因

 歯周病で歯茎の炎症が悪化した妊婦はそうでない人に比べて,約5倍早産になりやすい.鹿児島大学大学院の和泉雄一教授(歯周病学)らの研究グループが,出産と歯周病の関係の調査結果を2日までにまとめた.

 同グループの古市保志助教授と大学院生の長谷川梢さんが,2000年から鹿児島市内の3病院の妊婦114人を対象に調査.歯茎の状態の悪い妊婦が28人,そうでない人は86人と診断し,経過を調べた.

 その結果114人中,37週未満の早産は21人.うち歯茎が悪い妊婦は13人(約46%)で,そうでなかった妊婦の8人(約9%)と比較すると約5倍の割合で早産が多かった.

 早産の原因は感染症や喫煙,年齢などがあるが約2割は原因不明.通常,出産前に情報伝達物質のサイトカインが増える.同グループは調査結果から,歯茎に炎症のある妊婦はサイトカインがさらに血中で増え,子宮の収縮を誘発しているのではないかとみている.

 古市助教授は「歯茎の炎症を治したら早産が10%から2%まで減ったとの外国の研究もある」と話し,「10代からしっかり歯周病を予防することが大切.妊娠中期なら治療も可能」と呼びかけている.

(平成16年11月3日,南日本新聞より抜粋)

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