性病その1:淋菌性尿道炎(男性)

はじめに

 性病は,従来性風俗関係の特別な疾患と考えられてきましたが,現在は一般の男女が感染しうる疾患で自覚症状が無いことが多く,知らないうちに広く社会に蔓延する可能性が高くなってきました.若年者ほど初交年齢が低く,援助交際などパートナーの数は多く,性行為はフェラチオやオーラルセクス,アナルセックスなど多様化しているという現象を中心に,これらに伴う性のネットワークから,性病が性器以外からも感染が拡大,蔓延化しているものと示唆されています.

感染源

 淋菌性尿道炎の感染源においては性風俗女性からの頻度がほぼ60%で,残りは一般女性からの感染です.従来,性風俗女性の中ではソープランド女性の頻度が最も高かったものの,最近年々低下してきており,逆にそれ以外の性風俗女性の頻度が高くなってきています.これはエイズ感染予防キャンペーンの影響で,ソープランド女性においてはコンドームを使用するものが年々明らかに増えており,このことが,ソープランド女性からの感染が低下しつつあるものと思われます.一方,ファッションマッサージなど原則として性交は行なわず,主にフェラチオやオーラルセックスなどのサービスを行なう性風俗女性の咽頭から感染する頻度が増加しています.

症状

 感染機会からほぼ1週間以内の潜伏期間の後,急性尿道炎が発症します.外尿道口より濃厚な膿の排泄,初期排尿痛,外尿道口の発赤などの症状を認めます.淋菌が上行性に侵入し,後部尿道炎,精巣上体炎,前立腺炎などが発症することもあります.

もどる