生ワクチンと不活化ワクチン

 現在世界中で数多くのワクチンが開発され感染性疾患の予防に使用されています.現行ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに二大別され,それぞれの特性を生かして使い分けられています.

生ワクチンの性質と特徴

 病原体の病原性を弱め,体内で増殖し軽い感染を受けたのと同じ様式で免疫を与えることができるワクチンを生ワクチンといいます.つまり,生ワクチンは感染による生体の免疫反応を利用するワクチンであるため,1回投与で長期間効果が続き,有用かつ経済的です.

 しかし,弱毒化されたとはいえ生きた病原体なので,一定の潜伏期間の後いろいろの臨床反応が起こる可能性があります.麻疹ワクチンの発熱,発疹,風疹ワクチンの発疹,リンパ節腫脹,関節痛,ポリオワクチンの下痢,BCGのリンパ節腫脹,おたふくかぜワクチンの唾液腺腫脹など一般に軽度です.

生ワクチン:BCG,ポリオ,麻疹,風疹,おたふくかぜ,水痘,黄熱など

不活化ワクチンの性質と特徴

 不活化ワクチンは細菌,ウイルス,毒素を加熱やホルマリンで感染力,病原性ともに不活化してつくられたワクチンであり,多くの種類があります.不活化ワクチンは生ワクチンと異なり,初回の免疫を得るのに数回の接種が必要であり,しばらく間隔をおいて追加接種して免疫を高める必要があり時間がかかります.百日咳,ジフテリア,破傷風3種混合ワクチンが乳児期に接種される代表的な不活化ワクチンであり,これらの単味ワクチン,2種混合ワクチン,日本脳炎ワクチン,B型肝炎ワクチンが日常的に用いられています.

 不活化ワクチンは純化と抗原量の確保に製造コストがかかり,投与回数が多いので,少量の抗原ですむ生ワクチンより高価なものとなります.

 不活化ワクチンは投与後24〜48時間以内に発熱,局所の腫脹などの反応が起こることがあります.

不活化ワクチン:百日咳,ジフテリア,破傷風,DPT(3種混合ワクチン),DT(2種混合ワクチン),日本脳炎,インフルエンザ,B型肝炎,A型肝炎,コレラ,腸チフス,狂犬病,ワイル病など

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