高齢初産について

はじめに

 近年,女性の社会進出がめざましく,それに伴って晩婚化,少子化が進み,高齢初産婦の割合も年々増加傾向にあります.確かに様々なリスクはありますが,現在の医療技術により,ほとんどの妊婦さんが安全に妊娠,出産ができています.あまり過剰に心配しすぎず,妊娠出産を乗り切りましょう.

 日本産婦人科学科では,35歳以上の初産婦を高齢初産婦としています.初産婦に限らず高齢妊婦においては,加齢とともに生じる生理的な老化現象や,有病率の上昇に伴う既往疾患,合併疾患の増加などによって,様々な産科異常を合併する率が高いとされています.

妊娠中の異常

妊娠中毒症:加齢とともにその合併症は増加し,35歳以上では発生頻度が20%ほどといわれています.
内科合併症:糖尿病,腎疾患,甲状腺疾患などの合併率が高くなります.
婦人科合併症:子宮筋腫,卵巣腫瘍の合併頻度が比較的高くなります.
染色体異常児の発生:ダウン症などの染色体異常児の発生は,30歳未満の妊婦では700人に1例程度の割合ですが,35歳以上では200人に1人と加齢とともにその発生頻度が増加します.羊水検査により出生前診断することが出来ます.

分娩時の異常

 加齢によって子宮頚部や骨盤の筋肉は伸びにくくなり産道が硬くなります.さらに,陣痛が弱かったり分娩時産道の損傷が大きかったり,また分娩後に出血が多くなるなどの可能性が高くなります.このような理由で帝王切開や鉗子,吸引分娩になる可能性が若い方に比べて高くなります.

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