性病その9:疥癬

疥癬とは…

 疥癬はヒゼンダニが皮膚角質層に寄生して起こす掻痒の強い皮膚疾患で,性感染症でもあります.ヒゼンダニの体長は雌成虫で0.4mm.雌は皮膚角質層内にトンネルを堀り進みながら卵を産み付けます.生活環は約2週間で,幼虫,若虫,成虫のいずれも人の皮膚で生活し,人から離れると比較的短期間で死にます.

感染経路

 人の肌から人の肌へと直接接触によって感染します.性感染症に入れられるが性行為を伴わなくても感染します.親子間,兄弟間,寄宿舎,学生寮などの共同生活の場,保育園,キャンプ,合宿,修学旅行などで雑魚寝をしても容易に感染します.

 間接経路として頻度は低いですが布団やベッドを介して感染することがあり,当直室を頻繁に使う職種などでの集団発生が問題になります.

症状

 感染後約1ヶ月の潜伏期間を経て発症し,強い掻痒が夜間に増強するため不眠を訴えます.

 皮疹には3種類あり,各々好発部位を異にしている.第1は赤い小さな丘疹で,胸腹部,大腿部,腋窩,前腕や上腕の屈側などに散発します.第2は赤褐色の小豆大の結節で外陰部,腋窩,肘頭などに好発します.しかしこれは必発ではありません.第3は疥癬トンネルで,これは皮膚よりわずかに隆起した線状の皮疹であり,長さ数mmから数cmに及ぶものもあります.トンネルの先端の小水疱に雌成虫が潜み産卵します.疥癬の特異疹であり,好発部位は手関節から末梢部で,指間,指側面,手関節尺骨側などにみられます.手,指以外には腋窩,足,などにも生じます.

診断

 夜間増強する掻痒,家族や同居者,同棲者あるいは仮眠室を共用する同僚などに同症のあることに加え,上記の症状があれば本症の推定はつきますが,確定診断には虫体ないし卵の検出を要します.

予防

 感染者との接触を避けること.ベッドを共にしないこと.雑魚寝をしないこと.

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