妊婦は飛行機にはいつまで乗れるでしょうか?

 さあ,8月となりました!.世間では夏休みのシーズンです.お盆休みを利用して旅行したり,帰省される方もいらっしゃるでしょう.お産に関しては,産婦人科医には正月休みも,盆休みも,ゴールデンウィークもありません.ところで,よく妊婦さんから「飛行機にはいつまで乗れるでしょうか?」と聞かれます.

 妊婦の搭乗に関しては,各航空会社でそれぞれ独自の基準を定めています.したがって,まず利用する航空会社に問い合わせることです.一般に妊娠9ヶ月(35週)くらいまでは特に制限はなく,10ヶ月(36週)以降は医師の診断書が必要なところが多いようです(船舶も同様).同時に誓約書が必要なこともあります.また,予定日の1〜2週間前からは,医師の同伴が求められるところもあります.

 飛行機内や船舶内で分娩開始や産科異常が起こるのを極力回避するためで,妊娠9ヶ月以内でも切迫早産や重症の妊娠中毒症などがある場合には,緊急のことを考えると搭乗は勧められません.合併症がある場合には個々のケースで,かかりつけの医師に相談したほうがよいでしょう.飛行機内でお産したらニュースに出ることになります.

 飛行機への搭乗そのものの妊娠に対する影響に関する研究は今のところみられないので,はっきりしたことは言えませんが,他の乗り物以上に飛行機が危険であるというデータもありません.階段の上り下りや,長時間着席していることの負担に留意すれば大きな問題はないと思われます.

日本航空:予定日28日前までは自由に乗れる.その後は医師の診断書が必要.予定日前7日以内に乗るときは,さらに医師の同伴が必要.

全日空:予定日の28日前から医師の診断書と本人の誓約書が必要.診断書は搭乗前2日以内のものであること.

日本エアシステム:予定日を含め28〜8日前まで医師の診断書と本人の誓約書が必要.予定日前7日以内は医師の同伴が必要.

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