性病その2:梅毒

感染源

 梅毒は梅毒トレポネーマの感染による慢性の全身性の性病です.梅毒トレポネーマは性交時に皮膚,粘膜の微小な傷口から侵入し,まず感染局所に特有の病変をきたし,やがて血液やリンパの流れで全身に広がり各臓器,組織を侵すようになります.妊婦梅毒では胎盤を介して胎児に感染する場合があります.

症状

 症状のある梅毒は1期から4期まで区分されてきましたが,現在では医学的な意味合いは大してなく,また3期,4期の梅毒にはほとんど遭遇しません.WHOは梅毒を感染力で分類し,感染後2年位までの強い時期を早期梅毒,それ以後の感染力が大幅に低下する時期を晩期梅毒としています.1期,2期の早期顕症梅毒患者のセックスパートナーは1/2が感染しており,早期潜伏梅毒では3/4が感染しています.

1期梅毒

 感染後3週頃にトレポネーマが侵入した部位に初期硬結が生じ,速やかに硬性下疳とよばれる潰瘍に進展します.硬性下疳は周囲が隆起し軟骨様の硬さがあり病変のわりに痛みが少ないです.従来は単発が一般的でありましたが近年は複数の場合がかなりみられ,リンパ節腫腸を併発します.これらの病変は数週間で消退しますが,瘢痕は数ヶ月残ります.

2期梅毒

 感染後3ヶ月頃からトレポネーマが全身に広がり2期梅毒疹が出現します.梅毒性ばら疹,丘疹,膿疱は全身性に出現します.偏平コンジローマは陰嚢,陰唇,肛門周囲などに出現しやすいです.粘膜疹は口腔内とくに咽頭部に出現しやすいです.梅毒性脱毛は頭毛が不整に抜けるちおう特徴があります.これらの症状は数週から数ヶ月で消退します.

3,4期梅毒

 無治療で経過すると約1/3の患者に感染後3〜10数年の間にゴム腫と呼ばれる瘢痕治癒傾向の強い潰瘍や,心臓血管梅毒あるいは神経梅毒が出現するといわれています.しかし抗生物質が各種の感染症に頻繁に使用される現在では,このような症状に遭遇することはきわめて稀です.脳神経,脊髄の障害をきたす神経梅毒には進行性麻痺が知られています.

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