性病その5:性器ヘルペス(男性)

 性器ヘルペスは外陰部に小水疱やびらんを形成する疾患で,単純ヘルペスウイルスherpes simplex virus(HSV)1型または2型の初感染,再感染,再発で生じます.主に性行為で感染し,性感染症の一つとなっています. 

男性性器ヘルペスの特徴

 初感染の症状は,HSVに対して免疫をもっていないために,発熱,リンパ節腫脹など種々の全身症状を伴い,また,個疹は大きく,神経の走行に一致せずに左右対称性に播種状に分布します.亀頭,陰茎,陰嚢部,恥丘部,会陰部,肛門周囲に小水疱が多発し,浮腫性に腫脹します.発熱,リンパ節腫脹,排尿困難,排尿痛を訴えます.速やかにびらんとなり,癒合し不規則な形を呈します.病変辺縁部では小水疱,膿疱,茄皮を付着する皮疹が散在します.全経過2〜6週で自然治癒します.1型感染の方が2型感染より重症になりますが,男性の場合は女性ほどひどくなりません.口内炎や咽頭炎も合併することも多いです.

 すでにHSVの抗体をもっているものが,性器ヘルペスに初めてかかる場合を初発型といい,免疫が低下していない限り,再発型と同じ症状を示します.

 再発型は亀頭を除く陰茎部に好発します.一般に症状は軽く,個疹は小さく,皮疹の分布も限局性です.4日〜2週で治癒します.疲労,精神的ストレス,性交,飲酒,などで再発しますが,約8割のものが,腰痛,下肢のしびれ感など再発の前駆症状が数日前より起こります.再発の数時間前よりかゆみ,違和感や疼痛が認められます.再発頻度は1型が平均年1回,2型が平均年10回程度です.

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