性病その14:C型肝炎

特徴

 C型急性肝炎の症状,経過は他のウイルス肝炎とほぼ同様ですが,一般にはA型急性肝炎,B型急性肝炎に比べ軽度で,劇症化はまれです.しかし,A型肝炎と異なり,HCV(C型肝炎ウイルス)感染にはHBV(B型肝炎ウイルス)感染と同様に持続感染と一過性感染があります.さらに,HBV感染と異なる点としては,免疫能の発達した成人でも,HCVに感染すると高率に持続感染(キャリア)に移行することが知られています.急性肝炎の60〜80%は慢性肝疾患へ移行するとされています.我が国での慢性肝疾患に占めるHCV感染は63%で,病型別では慢性肝炎の53%,肝硬変の70%,肝癌の79%です.

 HCVと家族感染については,母児間の感染率は5.6%とされています.夫婦感染については結婚年数に比例してHCVの感染率が増加しているとし,夫婦間感染率は少なくとも4.5%は存在すると報告されています.

診断

 肝機能検査に異常があり,HCV抗体が陽性であれば,C型肝炎と診断されます.

治療

 C型急性肝炎には有効な治療法はありません.慢性肝炎には1992年から一般にインターフェロン療法が行われるようになりましたが,これは肝機能の改善だけでなく,ウイルスの排除,さらには肝臓癌発症の防止効果も報告されています.

予防

感染予防対策としてはB型肝炎と同様,

 1.血液による汚染の可能性のあるカミソリ,歯ブラシ,タオルなどは専用とし,共用しない.
 2.外傷などの出血はなるべく自分で手当てをして他人に血液が付着しないように配慮する.
 3.血液,体液で汚染されたものは包んで廃棄する.
 4.献血は行わない.
 5.セックスをする場合にはコンドームを使用する.

 なお,入浴,プール,理髪,食器などについては特別な配慮は必要としません.性行為によるHCV感染は,セックスパートナーの一方がHCVキャリアである場合に起こります.しかしHBワクチンのようなHCVに対するワクチンは開発されていませんのでコンドームの使用以外,予防方法はありません.

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