性病その14:B型肝炎

特徴

 HBVの感染経路としては,血液を介しての感染で輸血,医療行為などが主ですが,ヒトとヒトとの密接な接触でも感染します.HBV感染様式には持続感染と一過性感染があります.免疫機能未熟な3歳以下の乳幼児がHBVに感染すると高率に持続感染(キャリア)に移行することが知られています.その感染経路としては,家族内感染が重要で,出産時の産道感染を含む母児間感染,父子間感染および同胞間の感染が認められ,さらには保育園内感染も報告されています.一過性感染には不顕性感染と急性肝炎があり,前者が約80%で,後者が20%です.不顕性感染では無症状でHBs抗体が検出されて治癒します.B型急性肝炎では,一定の潜伏期の後に,黄疸,発熱,消化器症状,倦怠感などで発症します.

 性行為による感染は,対象が成人であることから一般には一過性感染で,現在のB型急性肝炎の5〜30%は性行為によるとされています.

診断

 B型急性肝炎の場合,血液検査でHBs抗原,HBe抗原,HBe抗体,HBs抗体などで診断します.

治療

 B型急性肝炎は,特別な治療を要さず,自然にHBVは排除されて完治し,慢性化することはありません.臨床上問題となるのは,1〜2%にみられる劇症化例です.

 B型慢性肝炎に対する治療としては,わが国では1986年より天然型インターフェロン(IFN)βが,1988年より天然型IFNαおよび組み換え型IFNαの投与が行われるようになりました.

予防

感染予防対策として,

 1.血液による汚染の可能性のあるカミソリ,歯ブラシ,タオルなどは専用とし,共用しない.
 2.外傷などの出血はなるべく自分で手当てをして他人に血液が付着しないように配慮する.
 3.血液,体液で汚染されたものは包んで廃棄する.
 4.献血は行わない.
 5.セックスをする場合にはコンドームを使用する.

 なお,入浴,プール,理髪,食器などについては特別な配慮は必要としません.性行為によるHBV感染は,セックスパートナーの一方がHBVキャリアである場合に起こります.HBe抗原陽性のHBVキャリアとHBV未感染者(HBs抗原,HBs抗体,HBc抗体のいずれもが陰性)が結婚する場合には,未感染者へのHBワクチンの接種が勧められます.

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