2011年度鹿屋青年会議所 理事長所信

 
  第48代理事長 足立浩一





『はじめに』

 現在の日本では、今までに無い大不況に見舞われ、心の豊かさと経済的な豊かさの両方を失いかけています。バブル経済の崩壊に始まった国力の低下は、危機意識が欠落していた日本社会全体の歪みを浮き彫りにし、混迷の中、抜本的な改革がなされないまま現在に至ります。しかし、明るいニュースをなかなか聞くことができない現状をただ嘆いていても前には進まないのです。「明るい豊かな社会」を実現する第一歩とは、混沌とした社会だからこそまず原点を見つめ直し、自らを磨き、明確なビジョンを思い描くことから始まると考えます。そのためには、私たちが情熱を持って何事にも立ち向かい切り拓いていかなければなりません。

『現在(いま)を生きる責任世代として』

  昨今、日本の国家や国民の未来を憂える声をよく耳にしますが、知りながら行動しない事、行動せずに嘆く事は我々の運動理念に反するものではないでしょうか。我々世代は、自身が極稀な恵まれた社会環境で生活できている事に感謝し、この現実に目を向け行動しなければなりません。共に切磋琢磨し、「個人の高い意識と自覚」を醸成し、地域に根ざした青年会議所であるからこそ出来る事を実践して行きましょう。それが現在社会から求められている必然的な使命であり、その一端を率先して担う事こそが青年会議所組織の存在価値であると私は考えます。 また、47年もの歴史を重ね多くの諸先輩方が多大な功績を残してきた伝統ある社団法人鹿屋青年会議所。その先輩方がこの鹿屋で青年会議所を誕生させ、活動し残してくれた情熱を、新たな発想と行動で継続し、若い後継者達に伝え、より良い明るい豊かな社会づくりに貢献していく、それが私達青年会議所会員の大いなる使命だと考えています。

『組織強化、公益法人格取得へ向けて』

 青年会議所の三信条「修練」「奉仕」「友情」とありますが、今の時代においてその運動に携わることは、時間的にも経済的にも決して簡単ではありません。また現状の不安定な社会情勢の中では、行動の選択肢は実益的で効果的なものに制約される傾向もあります。しかし、「いばらの道」とも言える尊い青年会議所運動の道を選択した先に、会員であるからこそ享受できる何物にも変えられない恩恵が、組織の魅力として在って然るべきだと考えます。結束力のある組織として地域に対して大きく貢献することができるのであれば、組織内に限らず地域や会社、家庭においても、その経験をもとに多くのことを還元し、その繁栄に大きく寄与することができるのです。 私たちが情熱をもって行動していく為には、しっかりとした組織運営、そして時代に合わせた柔軟な組織運営が大切です。例えば、青年会議所特有の「単年度制の弊害」を乗り越えるためには、45周年記念式典で発表した「50周年へ向けての指針」を忠実に遂行すること、そして未来を見据え慎重に協議しなければいけないこととして、公益法人制度改革があります。私たち鹿屋青年会議所に合った、会計面、公益性の高い事業の実施、組織の変革等、公益法人としての基盤をしっかり協議し、成熟した組織を目指しましょう。


 『情熱で挑む会員拡大』

  鹿屋青年会議所が成熟した組織を目指すためには会員拡大は永遠の課題です。慢性的な会員の減少は、全国の青年会議所共通の課題となって久しく、当青年会議所においても例外ではありません。全ての事業の基盤は会員であり、会員の減少は青年会議所の衰退に直結する重要な問題です。  鹿屋青年会議所の運動を未来に受け継いでいく為にも、会員一人ひとりが危機感をもって会員増強に臨まなければなりません。私たちが住むこのまち、そして社会に対してより大きく貢献し続ける為には、無限の可能性をもっている多くの仲間を増やすことが大切です。そして仲間と刺激し合い切磋琢磨し、充実した活動が展開されます。  また、情熱を若き世代へと波及させることで新たな会員の増強に結びつくと考えます。

『各種団体と連携した郷土愛の育み』

 私たちが暮らす大隅半島は、美しい田園や緑、また海に囲まれた豊かな自然環境に恵まれています。これまでその魅力ある特色を生かした地域活性化事業を展開してまいりました。引き続き本年度も継続して取り組みます。 青年会議所は特に専門性がある団体ではありません。しかし、このおおすみの問題点を解決するためのまちづくりに専門的に取り組んでいる各種団体は数多くあります。このおおすみの活性化のためにはそのような各種団体に我々の想いを伝え連携し、そして今まで以上のパートナーシップを育むことが不可欠です。  まちづくりは一朝一夕に出来ませんが大きな川も小さな流れから始まります。メンバー自身がこのおおすみに住んでいることに誇りを持ち公益性のあるまちづくり活動を行いこのおおすみに住む市民と共に郷土愛を育んでまいりしょう。

『次代を担う青少年のために』

  将来のおおすみを担う「青少年の育成」は最重要課題です。これまでの鹿屋青年会議所の青少年育成事業は歴史、伝統があり特に「想い」の詰まった事業であると認識しております。本年度もその「想い」を引き継いでまいります。 我々が子どもの頃は、近所に住む友達と山や川、野原で自由に遊び、そして周りの大人たちに叱られ、教えられ、励まされ暮らしました。今思えばあの頃のそんな毎日には、心や身体を育てるたくさんの学びがありました。現在の子どもたちを取巻く環境はどうでしょうか。核家族化や少子高齢化、個人主義傾向が進むことで、地域のコミュニティは「子どもたちを地域で育てよう」という雰囲気を弱め、不審者や凶悪犯罪の多発により「青少年健全育成」より「安全の確保」を優先させているように感じます。それに加え不要な情報の氾濫、ゲーム機の普及などにより、子どもたちが心豊かに育つ「実体験の場」を減少させているのではないでしょうか。そのような現在の環境を踏まえ、子どもたちが心身ともに豊かな新しい自分を発見できるような青少年育成事業に取り組みます。

『市民意識変革のために』

 2007年に国と地方との役割分担を見直すとともに、国の関与と補助金の廃止・縮小を図る目的で地方分権改革推進法が成立しました。その基本理念は、地方自治体の自主性及び自立性を高めることによって、地方自治体が自らの判断と責任において行政を運営することにあります。そしてこの法律の目的は、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることにあります。 鹿屋市は、平成22年6月の定例会の施政方針において、「市民が主役の市政」を実現するため「市民の声と力を生かすまちづくり」を推進しております。そこで各地青年会議所で実施され始めた「市民討議会」の手法があります。「市民討議会」は世代や背景を超えて無作為に抽出された市民の参加を募り、まちづくりについて話し合います。この手法により、「一般市民の声」を聞くことが可能になると同時に、まちづくりや市政に対する市民の「意識改革」にもつながります。このようにして、まちづくりや市政に関心を持つ市民を増やすことは一番のまちづくり政策ではないでしょうか。  本年度は全国の青年会議所が展開している実施例を調査・研究し、鹿屋市の協力も得ながら、鹿屋の地域に合わせた第1回「市民討議会」の実施を目指します。

『おわりに』

  私は青年会議所の活動に対しては個人個人のスタンスがあり、仕事、家庭があっての青年会議所だと考えております。普段の生活や仕事を充実させることが重要であり、何もかも犠牲にしてまで活動をする必要はないと思います。逆に言えば私生活や仕事がしっかりと成り立っていない人が「明るい豊かな社会」を創り上げることなど出来るはずがないからです。しかし、時として多少のリスクを背負ってでも青年会議所の活動に積極的に参加すべき瞬間があるとも思っております。なぜなら青年会議所は40歳で卒業という限られた時間の中でしか活動できないからです。卒業された先輩からも「今思うと、もっとやっておけばよかった」との声をよく耳にします。 長引く不況で、経済的にも青年会議所活動を継続していくのには大変な状況であることはわかっています。しかし、このような時代だからこそ青年会議所は必要なのです。青年会議所活動は1949年に東京で、敗戦後の時代背景の中「新日本の再建は我々青年の仕事である。」という覚悟のもとから始まりました。我々は「明るい豊かな社会」を築くという青年会議所の原点に立ち返り、創始の精神と社会的使命を再確認して、「高い志」と「強い行動力」を持って、新しい時代のまちづくりに取り組んで行くことが必要です。そして地域に対する役割を自覚し、行動を起こすとともに、私たちの情熱を地域の人々に響きわたらせ強い絆とし、活動の輪を広げていきましょう。  本年度、覚悟をもって、青年会議所運動に邁進することをお約束申し上げ所信とさせていただきます。





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