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■「共に学び高め合う生徒を育てる学級づくり」(3)
川端 成實(鹿児島市立西陵中学校)
k-narumi@po.synapse.ne.jp
<まず何に目を向けるのか〜学級の座席に目を向けて〜>
それでは、「一人一人を大切にする」ための「共に学び高め合う生徒を育てる学級づくり」の考え方を具現化するための具体的な方法、手立てはどうしていくのかという問題です。
まずは、子供たちの「座席」に目を向けることにします。学級の座席が、子供たちの生活や学習の場の態勢を大きく左右していくことはほとんどの教師が、いや、教師ならずとも学校教育を受けてきたほとんどの人が、そのことを感じているはずです。
ところが、現実の座席の決め方はどうでしょう。
みなさんは、学級の座席を何で決めていますか。「クジ」それとも「出席番号順」「お見合い式」「先生の指定」「自由」(まさか成績順というのは今はないですよね(案外残っていたりして))多くは、偶然性か教師による管理のためのそれとなっているのではないでしょうか。
クジやお見合い式といった偶然性の高いものについては、学級づくりが、「偶然」によって左右されてしまいます。子供たちの生活の場、学習の場が「偶然」によって大きく左右される。
確かに私達の存在自体が偶然性の産物であり、偶然の中でいかに生きるかという学びも必要だと思います。けれども、実際の現場では、それを許さないのが現状です。
学年のクラス編制を、クジで行っている学校などおそらくないと思います。それは、学校である以上その教育目標が存在し、生活や学習が円滑に行われ、より良い教育効果をねらっているからです。
学級内の成績のバランス、リーダー性を持った生徒の有無、生徒指導上問題を抱える生徒のバランス的な配置や教師との相性、不登校傾向やいじめにあいやすい生徒への配慮、さらには部活動やピアノを弾けるか弾けないかまで、本当に細かい配慮のもとに学級編制はなされます。それは、「教育」の場としてよりよい環境を作るための当然のとりくみであります。
ひるがえって、学級づくりではどうでしょう。
子供たちの学び基盤となる学級の座席。そして、それに付随してくる学習班の活動や生活班の活動が「偶然性」によるもので進められてことは、果たして「教育的」といえるのかはなはだ疑問に思います。
もちろん、クジによる座席でも立派な教育効果を上げている学級も知っています。また、その特徴をいかして学級づくりをされている先生方も知っています。
けれども、教師が何をねらうかによって、つまり、どんな子供たちを育てていくかという考え方によって、今一度座席の決め方を考えてみてはどうでしょうか。
私の場合も、最初はやはり、「クジ」による座席決めでした。
「クジ」による偶然の出会いの中で班を作り、その中でリーダーを選出させる。もちろん、偶然いい班が出来上がることもありました。けれども、生徒指導上問題を抱えている生徒が集まった班などができた時など、まして、その班にいじめを受けやすい生徒が入っていたときなど、面倒なことは全てその生徒に押し付けてしまう。給食の準備も、作業の分担も「力による論理」が働く。
学級にとってのリーダーとは、学級全体を見通し、生活面でも学習面でもよりよく先導してくれる生徒であることが望ましいことはいうまでもありません。また、そうでなくても、周囲がリーダーにした以上は、フォロアーの責任において、リーダーを支えながら活動していく。そのことが前提としてなければ、集団は動きません。
しかし、「クジ」による偶然性の学級では、偶然によってしか学級づくりはできません。そして、子供たちは「クジによる運命だからしかたがない」という考え方をもった生徒を育てていってしまうことになります。そうではなく、現状を一歩でも二歩でもより良い状態にして、しかも、自分たちの力がきちんと働いて学級が動く(ひいては、社会も動く)という発想のできる生徒を育てることが大切です。
また、給食当番や作業当番を、出席番号順で決めてしまう場合も多いでしょう。この件については、別の機会で書きたいと思います。
さて、座席の決め方一つに、そのような深い理由があること。また、そこを配慮していくことが、より良い学級づくりの一つの手段や方法となることをお伝えしたかったのです。
では、具体的にどうやって座席を決めていくのか。
それは、「学級のリーダー(生活班の班長)を選出させ、そのリーダーと共に座席を決めていく」という方法をで行ないます。つまり、学級の座席を子供たちの代表によって決めるのです。
もちろん、それは、「何のためにそうするのか」という、ハッキリとした理由を子供達に説明していくことが大切です。つまり、なんのための『班活動』か?「一人一人を生かし大切にするためにある『班活動』」「正義を通じる環境を作るための『班活動』」で、より良い学級を創っていこうという訴えのもとに進めていくのです。
その時に、単に教師の説明ではなく、子供たちと「どんな学級をつくりたいか」を語り合いながら進めていくことが大切です。
次回は、実際に「学級づくり」で進めていった「6つの柱」をもとに、お話していきたいと思います。
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1 班長選挙と班長による生活班の編成
〜生徒相互の信頼関係を柱とした生活班〜
2 リーダー育成の場の設定
3 生活班を単位とした日直活動
4 班日誌の利用
5 生活班を単位とした・給食活動・作業活動
6 「帰りの会」の工夫(位置づけと会順の工夫)
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川端 成實(鹿児島市立西陵中学校)
k-narumi@po.synapse.ne.jp
<6つの柱 その1「班長選挙と班長による生活班の編成」(1)>
前回、「学級の座席に目を向けて」学級づくりを考えていくことの必要性についてお話しました。その中で
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「『学級のリーダー(生活班の班長)を選出させ、そのリーダーと共
に座席を決めていく』という方法をで行ないます。つまり、学級の座
席を子供たちの代表によって決める」
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という方法を話しましたが、その具体的な決め方を書きたいと思います。
1 学級の目指す姿をみんなで確認しあう
「どんな学級をつくりたいか」「どんな学級にしていきたいか」
まずは、リーダーを決める前に、学級の目指す姿を、学級全体で確認する活動が必要です。単に生活班を作るのではない。生活班を作る目的をはっきりさせるのです。目的をはっきりさせることが、リーダー像をはっきりさせることにつながります。「こんな学級にしたい」「そのためには、相応しいリーダーはだれか」という方向性を子供達の中に持たせるのです。
あらかじめ、書かせておいたものをまとめても良いし、最初は、出席番号順に並んでいる「仮の生活班」を使って、班ごとに意見をまとめてものを発表させたりして、学級全体で「目指す学級像」をみんなで確かめます。
2 リーダー像を確認する
「そうか。みんなはこんな学級にしたいと考えているんだね。それでは、そういう学級にするためには、この学級は、どんな人がリダーになれば良いだろう。また、リーダーとは、どんな人だろう。」
次は、このように話します。
自分たちの目指す学級を創り上げていくには、リーダーは不可欠。そのリーダーも、自分たちでリーダー像をしっかり確かめてから選出する必要があります。
視点を持たずにリーダー選出をさせると、人気投票になったり、安易な気持ちで投票したり、中には「押し付け」で投票したりしてします。そうならないために、この作業が必要です。
生徒が発表する(もしくは書かせておいたもの)を板書しながら、学級の全員で確認していきます。
(予想されるリーダー像)
・自分だけでなくみんなのことをよく考えてくれる人 ・積極的な人
・全体をまとめてくれる人 ・自主的に行動する人
・声の大きなハキハキしている人 ・何事にも一生懸命取り組む人
・みんなから信頼されている人 ・行動力のある人
3 自主立候補と投票
「みんなの考えるリーダーがよくわかりました。みんなしっかり考えていますね。それでは、この黒板に書いてあるようなリーダーをこれから決めていきたいと思います。」
「まずは、このようなリーダーとして頑張ってくれる人は、立候補してください。」
(いた場合)→立候補即当選ではなく、立候補者もあわせて選挙とする。この場合、リーダーとしての信任投票となる。
(いなかった場合、もしくは定数に足りなかった場合)→投票によるリーダー選出となる。
ここで、リーダーの数ですが、40人学級であれば、学級で6つの班。35、6人学級であれば、学級で5つの班が適当です。つまり、1班を6人から7人で構成していくことがめやす。それは、一人のリーダーが目の届く範囲が「5〜6人」と考えられているからです。また給食当番とのからみから、ひと班が5人であると少なすぎるというのもあります。
投票は、男子3名女子3名を連記を基本とします。ひとり1票だと、リーダーとして選ばれても、票割れを起こして得票が10票以下でリーダーになってします。よく、学級委員長が、票割れのために、40名学級でわずか10票程度の得票で選ばれることがあります。学級の生徒の支持が4分の1程度では、思うようにリーダーシップは発揮できないのではないでしょうか。またリーダーも、学級の多くの支持があればあるほどやる気も起きます。さらにそれは、学級のみんなの「信頼」を意味します。
また、男女各3名を書かせるのは、学級の男女のリーダーを育てるためです。
さて、このようにして、自主立候補とそれに伴う投票を行なって、得票の多い生徒から順に男子3名女子3名を学級リーダー、生活班の「班長」として選出します。そして、この6名と担任で、生活班を編成していきます。
生活班の編成方法については、次回にお話したいと思います。