枕の形 著作権所有 上村 巌 1.枕の形が健康を支配する。 こう言うと枕のコマーシャルのようであるが、枕によって私たちはその日の健康状態を左右されている。 朝、起きた時、頭が重いとか、首の調子が悪くなっている時、その原因が枕にある事は誰も気づかない。 しかし、枕の形が健康状態を支配している事実を意識するようになると、はっきりと理解できる事実なのである。 枕の形状が頚椎の異常を起こす仕組みがある事に気づいたのは、1970年である。 更に枕の高さが矯正で治した頚椎さえも悪くしてしまう事を問題として、組織的な人体実験の形で適正な枕の高さと形というテーマで調べたのは 1984年である。この時、施術を受けた述べ650人ほどの例数を使って調べた。 その結果選られた最適な枕の高さは各人によって差があり、適正な枕の高さは小指の高さ以内であり、巾は首の高さまでの細い枕である事が分かった。枕の素材はバスタオルが最適である事が分かってきた。 以後の施術に当っては、頚椎の矯正をする場合の絶対条件として、枕を即日、替える事を条件にして実施している。 2.枕の素材 枕の素材は、新しい、毛足の長いバスタオルが最適である。スポーツタオルと呼ばれるものの中で毛足が短い物は不適である。 テストの段階では、各患者が実にさまざまの物を使ってみた。およその形を与えて後はその範囲内で自由に制作して使った。 3.枕の形 その中から収束する形でバスタオルになっていった。各人が作った物は、全て関わっている患者に情報を公開する形で伝え、情報の選択も各患者の選択に任せた。結果としての患者の首の状態がどう変化するかを施術の直前に評価する形で行った。枕の形によって矯正して頚椎が再び悪くなっている事がある事を患者たちも自覚したので、会話が弾んだ。 枕の形を決めるのは、高さと巾といい慣らしている奥行きと身体の呼び方に習う巾と言われる長さでである。この3つの要素の中で一番意味を持つのは高さである。そして巾がこれに次ぐ。 形の目安は、 イ.高さが使用する人の小指を超えない事。 ロ.巾(体長方向の寸法)は高さの3倍以内。 ハ.長さは肩巾以上 ニ.バスタオルを二枚重ねて二つ折りにし、折った側を5cm 程度折芯にして巻いて両端を固く縛る。 ホ.出来上がった枕の真ん中を、ビールビン程度のもので叩い て小指の高さ以下に潰す。 ヘ.潰すのは真ん中だけで端は横に寝る時に使う。 4.枕の形の意味を考える 枕の理想の形状は、環椎を通る椎骨動脈の形に置かれているが、最も重要視すべきものは頚静脈の直線性であり、胸椎部の静脈の性状による拘縮現象の回避である。 特に、上部頚椎の直線性の保持と頚部の直線性は、頚椎と胸椎の接合状態が正常でないのが普通であり、殆ど正常に保たれている事はない。それは、上部胸椎を矯正しなければ頚椎の矯正が出来ない仕組みが存在している事に気づけば納得できる筈である。それと、矯正が進むにつれて枕の高さが低くなってくる事でも分かる。 何よりも鮮明な変化が顔に起きる。頚椎の矯正を何回繰り返しても枕を替えない限り首の異常から開放できない事があるが、枕を作って使うようになると頚椎の矯正はいらなくなる。 例 高い枕をしないと寝れなかった人が、惰性で高い枕を続けていたが、3回の施術でも頚椎が同じ状態になった筋肉反応を繰り返していたので、施術を止めるように宣言して施術を拒否した。作った枕を使う事を誓ったので、絶対条件と念押しして施術を行った。1月後、頚椎の筋肉反応は軽くなっていた。 例 枕をしない患者が来た。枕を使って首を守るように説明して施術を行ったが2回していないままであった。3回目、施術を断ると枕を使うからと約束したので、念押しをして施術を行った。次の時、夫の施術が済んだ後、頚椎を調べると矯正が終わったままの頚椎状態であった。『枕が大事だったんですねえ。』と納得して帰った。 高枕は病気の元と祖母が言っていたが、事実であることを思い知らされる。 大きい枕は、布団屋の洋画の見過ぎから始まったのだ。日本人が使っていた箱枕こそ健康器具だったのである。箱枕を布団の外に下ろして使うと快適である事は小学生の時に体験していた。