(「むし歯をキック! なぞなぞ山のフッソマン」へのリンク)


この話は、2011年2月9日に、NHK放送の「ためしてガッテン」で紹介されました。
そのときの見出しは、「脳と身体を刺激せよ! やる気の源は○の裏に」で、巻頭に出されました

  これは実話です。一歯科医師とロバとの感動的な出会い、動物に対する愛護心と、動物にはじめて作って入れる義歯に対する歯科医の情熱を描いています。
 この絵本のねらいと大きな目的は、小児がこの本を読み進んでいくうちに、動物と人間を含めて「食べることは大事」であり、そのためには「健康な歯であること!」に気付くようにと願って作ったものです。
また「歯の大切さ」というものを小児の時から心の奥底に刻み、むし歯や歯周病になって歯を失う事がないように、それには毎日予防することがとても大事であるということ知ってもらうことにもあります。
そしてまた、歯を通して「噛む」ことが自分の身体の健康にまで、どのように役立っているのかということも考えさせることができるようしたつもりです。
 さて、主人公の石神健次先生は、残念にも1年前(1998年)の2月23日に81歳で逝去されました。

先生は、昭和25年に東京医科歯科大学助教授に就任、昭和35年に
青山での開業の傍ら大学でも研究を続行しておられました。

翌年に、上野動物園から、ロバの一文字号への義歯の作成を依頼されたのでした。
 これからがこの物語、「ロバに入れ歯を贈った歯医者さん」は始まります。
絵本には、一文字号の生い立ち、功労、凱旋、動物園での生活などが語られていきます。



 ロバの一文字号は、昭和14年に日中戦争の中国戦線の時、戦地で調達された中国産のロバです。一文字号は戦地で手柄を立て、日本軍から上野動物園に贈られた「軍功動物」でした。動物園では、子供からとても好かれていました。背中に子供を乗せて動物園の中を歩き回りました。一文字号は、第二次世界大戦も、戦後も生き延びました。しかし、戦時中の食糧事情の悪化や老齢のために歯が抜けたり折れたりしました。餌を良く噛めないために、一文字号はだんだんと衰弱していきました。一文字号は29歳、人の年齢で言うと90歳の高齢です。これを見かねた動物園では、一文字号の健康回復を切に望むとともに、人間と同様に入れ歯を入れることで一抹の希望を抱きました。しかし、いくら探しても、これをかなえてくれそうな歯医者さんは誰もいませんでした。というのは、動物に入れ歯を入れること、このようなことは世界で初めての試みだったからでした。上下の前歯16本のうちで,丈夫な歯はたった2本。他の歯は残根状態(歯の根っこだけが残っている状態)。奥歯の24本はそろっていたが、だいぶ磨り減っていたのでした。


   

 ロバは神経質で、治療として歯を削るときのエンジンの音にも驚きます。
また、他人が近づくのにも大いに警戒するのです。

馬類は,一般にショック死しやすいのでいす。
ロバの前歯は人間と比べて5倍以上、ロバのあごは大きすぎ、顔の長さは40センチ以上ありました。
一文字号の入れ歯を作ってくれる歯医者さんとして、石上健次先生に白羽の矢が立ちました。
数社の歯科器材メーカーから特性の印象トレー,金属その他の器具を調達も受けました。
ショック死したらいけないからと,歯は1本も抜くことは許されませんでした。
さすが、“入れ歯の神様”と言われている石上先生だけあって、義歯作りの熱意と努力は報われ、2カ月半かかって、とうとうロバの入れ歯は完成しました。
入れ歯は、精巧な歯科の技術をこらして作られていて、残っている歯に、ガッシリと固定されて外れないし、
入れ歯を入れているときには端の方で革のバンドでも固定するように工夫されていました。
食後は、飼育係が取り外して清掃,残っている歯も容易に歯みがきできるようになっていました。
入れ歯を入れた一文字号は、すぐに食欲を取り戻して、元の元気なロバに回復しました。
ところが、元気になって有頂天になった一文字号は2年後には、とても高く飛び跳ねたので
足を囲いの柵に引っ掛けて落ち、思わぬ事故で死んでしまいました。

それを知った日本中の子どもたちはとても悲しみました。




出版社・クインテッセンス出版株式会社  

 初版発行・1999年1月31日 定価3,200円(税別)

101-0062 東京都千代田区神田2-1廣瀬お茶の水4F
03-3292-3691 FAX03-3292-3696

 

---
 
 

(原作)米田裕子、(脚色、文)市来英雄、田浦勝彦、(絵)松元裕子

 
 むし歯予防のキーワードであるフッ素を「フッソマン」と名づけて登場させ、
子どもたちにむし歯予防の大事さを伝えようと企画された楽しい絵本です。
新しいむし歯予防は“フッ素の利用”がキーポイントです。 城県仙台市の幼稚園の、
お母さん方が作られた人形劇から、みごと絵本に仕上がりました。

子どもたちは、などなぞをときながらスリル万点を味わいます。
子どもたちが絵本の中に溶け込み、楽しい楽しい思いをしながら、
自分の歯を大事にするようになる、
とてもためになるお話です。

絵本のあらすじ
 ある小さな国での物語です。おきさきと魔女たちは王様と村人たちを、
むし歯にして国を支配しようと、
魔法の薬つくりに精を出します。
それを見たフローリア姫と村の男の子トムとピーターは なぞなぞ山に住むという
「ある人」を探しに出かけます。
さて、子どもたちは上手になぞなぞをといて、
「ある人」といっしょに、みんなをむし歯から救う
ことができるでしょうか


 むかしむかしあるところに、王さまと、ひとりむすめのフローリアがいました。

ある日のことです。おしろに、あたらしいきさきがやってきました。

そのときから、王さまの歯はいたくなりだし 王さまはふきげんになりました。

「みなのもの、さがれ、さがれ。わしゃ、歯がいたいんじゃ!」


「まあ、おかわいそうに。ではまた、おくすりを」

「でも、歯いしゃさんにみてもらったほうが、いちばんいいのでは?」

「いいえ!わたしがつくったくすりがいちばんよいのじゃ!」

「きさきのいうとおりじゃ。すぐにトロ〜ンとして、いいきもちになる」

「おとうさまは、ねむってばかり・…」

おひめさまのフローリアは、しんぱいでたまりません。
あとがき
 この絵本の原作は、仙台市泉区内にある明泉幼稚園の父母のサークル「ぱれっと」が作った人形劇
「ミスター・モーラー」です。「ミスター・モーラー」は、1995年11月11日に仙台市市民会館で
開催された
19回むし歯予防全国大会の特別番組として上演されました。参加した多くの子どもたちは
みな、この人形劇の
世界にとけこんで、キャラクターとともにスリルを味わったり、大声でなぞなぞを
といたりして大いに楽しみました。
そして、歯の大切さを学びました。「ミスター・モーラー」の
モーラーとは、英語で“奥歯”という意味です。
最初に生える大人の奥歯は、第一大臼歯
(別名、六歳臼歯)ともよばれ、最も大切な歯です。
この絵本では、「フッソマン」という分かり
やすく親しみやすい名前にしてみました。


「むし歯をキック!なぞなぞ山のフッソマン」を読まれる皆様へ 
 この絵本は、むし歯予防の最も新しい考え方を知っていただくためのものです。
むし歯予防としては「歯みがき」と「砂糖の制限」がよく知られていますが、
この2つだけはどうしても限界があるのが実情です。

そこで、第3の方法「フッ素の利用」がクローズアップされてきました。
むし歯とは、歯の脱灰と再石灰化のバランスがくずれ、一方的に脱灰が進行してしまう現象なので、
脱灰を抑え再石灰化を促せばバランスがもとにもどり、むし歯を予防することができるのです。

ここで大きな役割を果たすのが「フッ素の利用」です。フッ素のは歯の石灰化を促し、脱灰を抑えます。
フッ素は、この絵本のフッソマンのように大活躍します。
「フッ素の利用」は世界の常識であり、むし歯予防の先進国ではフッ素配合歯みがき剤やフッ素洗口
だけでなく、
水道水や食塩にフッ素を加えて住民の歯を守っているのです。

子どもの歯をむし歯から守るために、「フッ素の利用」を加えた新しいむし歯予防を実践しましょう。


初版発行 1999年5月5日

絵本A変型 32ぺ一ジ フルカラー上製本  定価1500円(税別)出版社 
砂書房 113 東京都文京区本郷3-13-5

п@03-3814-6251/03-5805-8615 FAX 03-3814-6285

この絵本は、韓国の出版社からも認められて、2000年3月には、の全ハングル文字だけの絵本が出版され
韓国の子供たちの人気をさらっているそうです。

トップのページへもどる

つぎのページへすすむ