bP.正月に門松を立てるのは
bQ.鶏になったうそつきの占い者
bR.湯湾大親(ゆわんふうや)の父子
bS.龍郷での平家落人の悲劇
bT.殿様をやりこめる炊事係
bU.豪傑太郎はケンムンの声を聞けた
bV.恋仲を引き裂かれた美人娘
bW.為朝の子、親に似た力持ち
bX.もとは人間だった奄美の妖怪
10.上納の機織りで子供を失う悲劇
11.お月待ち祭りは旅の神様の祭り
12.会えば災いが起こる恐ろしい神
No13.最後まで正しかった天女の教え

bP4 沖永良部のシマと人と福の起源
和泊町 島建て国建て 
 子が生まれると親はすぐに石と金になり、子には名前がなかった。子は、名が欲しくて、天に昇った。天の庭には、ティル・ティダ(照る太陽)がいて、名無しの子が、「ティル・ティダよ、私は石の父と金の母から生まれたものですが、名前をつけてください。」と願うと、シマクブタ・クニクブタと名付けてくれた。名前をもらうと国づくりをする島が欲しくなった。「天にないよ。ニルヤ・カナヤの国に降りて行け。」降りて行くと、ニラノウフヌシ(ニラの大主)が聞く。「どうして私を拝みに来たのか。」「名前がない。どうか名前を付けてください。」 今度はシマディーシヌシマクブタ・クニディーシヌクニクブタという長い名を付けてくれた。国にする島が欲しいと頼んだら、すぐもらえた。
 島はまだ流れ寄る浮き島で、北の端を踏めば南の端が持ち上がり、南の端を踏めば北の端が持ち上がって、揺れ動くばかりだった。もう一度相談したら、「そのくらいのことが分からなかったのか。釘を打ちつけるように、北の端に白い石を三つ、南の端の海辺に黒い石を三つ、置きさえすればよいのに。」と教えた。島の揺れは収まった。今度は、波が島を打ち越した。波を防ぐため、石垣を積み、浜葛(はまかずら)やアダンなどを植えたら、波は来なくなった。
 次は、シマ(集落)づくりだ。泉川を設け、境目の嶽や森をつくり抱き守らせると、シマの形ができた。しかし、肝心なものが足りない。天に昇って頼んだ。「ティル・ティダよ、人の種をください。」「人の種はない。妹と兄で広がらせるものだ。」と妹と兄を島へ降ろしてくれた。三年たってもできず、相談に行った。「妹の家を下手の方に、兄の家を上手の方に置いて、夜の風にあてればいいのだ。」すると子がまれた。食べ物をもらいに行ったが、初穂祭の前でもらえなかったから盗んで来た。子が落ちるところまで落ち、死んでしまった。ティル・ティダは孔雀を使って探させ、その子に生き水を吹きかけて生き返えらせた。兄と妹は稲穂をもらい、稲ができ、人が広がりふえていった。
 (原話『沖永良部島のユタ』『奄美の伝説』)
      
                  ウジジ浜                   田皆崎灯台          
奄美点描「花と鍾乳洞の島」沖永良部島
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