bP.正月に門松を立てるのは
bQ.鶏になったうそつきの占い者
bR.湯湾大親(ゆわんふうや)の父子
bS.龍郷での平家落人の悲劇
bT.殿様をやりこめる炊事係
bU.豪傑太郎はケンムンの声を聞けた
bV.恋仲を引き裂かれた美人娘
bW.為朝の子、親に似た力持ち
bX.もとは人間だった奄美の妖怪
10.上納の機織りで子供を失う悲劇
11.お月待ち祭りは旅の神様の祭り
12.会えば災いが起こる恐ろしい神

bP3 最後まで正しかった天女の教え
伊仙町 天人女房 
 前の主という人が耳付(みんつき)の田袋(田んぼ)に差しかかると、泉のほとりに天女が舞い降りて、羽衣(飛衣(とぅびぎん)舞衣)を木の枝にかけて水浴びを始めた。男は天女を妻にしたいと考え、羽衣を隠した。天女は水浴びを終え、羽衣を探すがない。そこで男は、「羽衣がなければ天にも帰れないでしょう。一緒に探してあげるから、見つかるまで家に行こう。」と誘い、家へ連れ帰った。二人は夫婦になり、子供が三人できた。
 ある日、天女がいないとむずがる末の子を、上の子があやして、
  父は山に木なぎに 母は川へ水くみに
  泣くなよ坊グヮ  六つ柱の高倉の
  母が飛衣舞衣   取って呉ぃらむ
  泣くなよ坊グヮ  泣くなよ坊グヮ
と歌っていた。
 門口でこれを聞いた天女は高倉に上がり、羽衣を探すと見つかった。飛んでみると飛べた。「親子四人が恋しくなれば、庭に唐金竹を植えなさい。竹が天に届くように伸びるから、千足の草鞋(わらじ)を作り、履き替え履き替えして昇っておいで。」と書き残し、子供を連れて飛び去った。
 一人残された男は、唐金竹を植え、草履作りに精を出した。千足できる頃、竹も天に届くほどになった。男は竹を登り天の入り口まで来たが、もう少しだった。大声を出したら機織していた天女がヒジキ(機の道具)を差し出したので昇れて家族の再会を喜んだ。
 ところが、天女の親は下界の人を嫌い、男に、七町歩の山林を払って来いと命じた。天女は言った。
「七ヶ所で一本ずつ木を切り倒し、後は寝ていなさい。それで仕事は終わっているよ。」
 これが終わると、親は、昨日なぎ払った所を一日で開墾して来いと命じた。すると天女は、山の七ヶ所を耕し、昼寝すればよいと答えた。
 次の日、シブリ(冬瓜)を植えて来いと言われると、これも畑の七ヶ所に一粒ずつ植えて寝ておれと言う。次の日には冬瓜ができたので、冬瓜を全部取って来いと言われ、教えられた通り取って来た。
 冬瓜を縦に切れと言われたとき、天女は横に切れと教えたが、男はなぜか親のいうままに縦に切った。すると、大水が出て流された。天女がつかまらせようとヒジキを差し出したが、水の勢いが強くて、男はそのまま流れて行ったという。

 (原話『伊仙町誌』)
伊仙町ミニガイド:伊仙町は徳之島の南に位置し東西に広がる平坦な町です。最近長寿世界一としてギネスに登録された、本郷かまとさんの故郷。以前ギネスに登録されていた泉重千代さんもここの出身・・・
          
泉重千代翁の像               犬田布岬(奄美十景)
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