く ま 川 鉄 道 沿 線 の こ と 《T》
年々歳々花相似たり、年々歳々人同じからず。人は同じ人でも心が変わり、花は同じでも
去年の花ではない。
平成2年からおよそ三年間、余裕の出来た休日には 片道100キロあまりの道のりを球磨
地方まで足を運んだ。くま川鉄道沿線の風景や花を 列車と共に撮影しようと、カメラを構えて
じっと待つ、その時間に酔った。
球磨地方は奥が深い。最近、鉄道から離れて周辺の山にはいると 深い谷に点在する村
落のたたずまいや山肌にへばりつく棚田などすばらしい景色にめぐり会え、興味をそそられる
ようになってきた。くま川鉄道に執着し撮影したときの情熱と感動が熱いうちに、とりためた写
真を球磨地方交響曲の第一楽章としてまとめておく。
振り返ってみるとこの短い間にも風景が変わってきている。この写真のうちいくつかはもう
見ることはできない。開発のせいであり、自然の営みのせいであり、何よりもその瞬間は還ら
ないせいである。
花の里
河原に春が訪れる。堤防沿いのあぜ道に菜の花がこぼれ咲き、井口川橋梁を渡る列車の
音は花の香りと蜜蜂の羽音に包まれてここまでは響かない。【8】★ 免田川の下流の中州に
は 菜の花が一面に咲き、小鳥たちの格好の遊び場となる。【12】★ 川村の鉄橋の上手の
広大な遊水池にも、菜の花は春の陽光とともに、鮎解禁を待つ川舟を包むように
ひっそりと咲
いている。【11】★
線路脇 あぜ道 小川の土手に黄色の絨毯を敷いたように きんぽうげ が咲く。
【16】★
あざみ は赤紫の花を気高く咲かせる。【15】★
梅雨が終わりに近づくと川の土手に ねむの花 が咲く。大王橋際の
ねむの木は大きくて
樹冠に咲く薄桃色の花はなまめかしい。【37】★ 木陰にあるゲートボール場には今日は人
影がない。
○ギャラリートップへ
暑い夏が終わり稲が実りはじめる頃あぜ道に ひがんばな が咲く。あちらこちらにぽつぽ
つと咲く。【44】★ 川村の陣の内集落の田んぼには うねった川のように咲く。【48】★ ◎写真一覧へ
秋口には せいだかあわだちそう が黄色く埋めつくした川村鉄橋付近の広場を すすきが
白く染めるともうすぐに年が終わる。【46】★ ◆次へ