従来の数列の問題を複素数平面で考える
問 a,bを定数とする。Xn+1=aXn+bXn-1の数列{Xn}の一般項を求めよ。
ただし,X1=X0=1である。
解 行列を用いると,
Xn
0 1 Xn-1
ここで,
Xn
1
(
) =( )( )……@と表される。
Xn =( ) より,X0=( )
Xn+1
a b Xn
Xn+1
1
@は,Xn=AXn-1とかける。
=A・AXn-2
=A・A・AXn-3
:
=AnX0 となる。
0 1
0 1 n
ここで,A =( )
から,An=( )
について考えると,
a b
a b
AY=kY,Y≠0を満たす,2次の列ベクトルYが存在するとき,
kをAの固有値,Yを固有ベクトルといい,
p
0 1 p
p
Y=( )
とおくと,AY=kYは, ( )( )= k( )
……Aとなり
q
a b q q
q=kp
bp+aq=kq
が得られ,これより k2ーakーb=0
……Bを得る。
Bの2解をk1,k2とすると
Bは, 0 1 1
1 0 1 1
1
( )( )= k1( )
,( )( )=
k1( ) となり
a b k1
k1 a b k2
k2
1 1
ここで,Y1=( ) ,
Y2=( ) ,X0=αY1+βY2
とおくと,
k1
k2
1 1
1
( )=α( )+β( ) より,
1 k1
k2
一行目は,1=α+β
二行目は,1=αk1+βk2
となり,
この2式より,
1ーk2
k1ー1
α=---------- , β=----------
より,
k1ーk2
k1ーk2
X0=αY1+βY2は,
1
1ーk2 1 k1ー1
1
( ) = ---------( )+
--------( )
0
k1ーk2 k1
k1ーk2 k2
となる。
AYi=kiYi より, A=ki
A2Yi=AkiYi
:
:
AnYi=An-1kiYi
=kn-1kiYi
=knYi となる。
Xn=AnX0
=An(αY1+βY2)
=αAnY1+βAnY2
=αk1nY1+βk2nY2
となる。
これは,
Xn
n 1
n 1
( ) = αk1
( )+βk2 ( ) となり,
Xn+1
k1
k2
n n
第1行目は,Xn= αk1
+ βk2
つまり
1ーk2 n
k1ー1 n
=----------k1 +----------k2 が一般項として言える。
k1ーk2
k1ーk2
これは,つまり
Xn+1=aXn+bXn-1
ただし,X1=X0=1 の一般項は,
1ーk2 n k1ー1
n
Xn=---------k1
+-----------k2 ただし,k1,k2はk2ーakーb=0の解
k1ーk2
k1ーk2
ということを意味しているが,a,bを具体的に実数値をとると,非常に
興味深いことを表しているということが分かる。
以下の2つの例を参考にされたい。
以上のような2つの例をあげたように,実際の数列は自然数だけで得られたり,または整数だけで
得られたりする漸化式について一般項を求めてみると,まったく関係の無い,無理数や,複素数まで
もが使われているということが分かる。
三次方程式の解法でも述べたように,虚数というものは「実存せず,無視してよい」ものではなく,
表面上は複素数とは全く縁の無いように見えるものについても,その役割を演じているのである。