科学教育研究生国内短期留学(鹿児島大学) 報告書
 
 
 
 
はじめに  研究のテーマ 
 平成8年度の科学教育研究生として選ばれ,3カ月間自分でテーマを決めて,自由に研究できる環境を作っていただいた。前後の7月と9月は勤務校において,研究の準備とまとめに,8月の1カ月間を鹿児島大学での実質の研究期間として使わせていただいた。 
 普段は,興味を持ちながらも,校務多忙であり,そのうえ資料・文献等もそろわないなかで,なかなか自分自身での研究時間を作り出せないでいるのが実際である。しかし,今回このような自由な環境の中での研究活動は,非常に自分自身に取って参考になり,学ぶことも多い期間となった。以下,その中で研究活動は広く浅くなってしまったことは否めないが,まとめてゆきたい。 
 
 
 主に以下のような事について,研究を進めた。 

 @ 複素数平面の歴史的背景・活用   
 A 微分不可能な曲線 
  
 B コンピュータを利用した図形表示  
 C インターネットの活用 
 

  研究の動機・目的
 
 新指導要領で数学Bに複素数平面が導入され,虚数をiといった記号ではなく
図形的に取り上げられるようになった。一方,数学Cでは,行列が単なる演算に
終始してしまい,一次変換が無くなってしまったのは残念である。その他,
新指導要領では,コンピュータの授業への導入など(なかなかうまく実施できて
いないようであるが),様々な分野が取り上げられている。このような環境の中,
今後,複素数平面に関することはかなり深くまで高校数学においても,追求され
ることが予想される。

 更に,複素数平面にはフラクタルという興味深い現象(図形)も描くことが出来る。
この図形の作図にはコンピュータは必要不可欠である。コンピュータにも自分自身
興味を持っており,あらゆる角度からアプローチしてみたいと考えた。

 そこで,複素数平面の基本的なことについて調べてゆく。また,その中でニュートン
以来微分解析学は,理想的なものについてのみ取り扱ってきていたので,その
プロポーズに反する例を考える。そして,コンピュータを利用して実際の図形として,
目に見えるものに変えてゆく。同時にコンピュータの最先端の技術にも,出来る限り
触れてゆきたい。というのも,図形処理では大量のデータ計算を必要とするため,
また当然の事であるが,人間の手ではとうてい無理な状況も起こり得る。そして,
残念な事に,高等学校の環境では十分かつ必要な機材もそろわないからである。

以上のようなことを目標にしてゆく。