4 コッホ曲線に関して

 スウェーデンの数学者コッホが,1900年代初頭に考えだした。ガウス平面
において,図形の移動を特徴的にとらえて,興味ある曲線になっている。図は前
ページに挙げてあるがこのコッホ曲線は,2つの写像f1(z),f2(z)から成り
立っている。


 (1) f1(z)について
(複素数による表現) z=x+yiと考えて
       
これらは、以下の3つの写像を組み合わせたものである。
       __
@は,f(z)=z

Aは,
     1
f(z)=----z
    浮R

Bは,f(z)=(cos30゜+isin30゜)z


       1            ー
f1(z)=----(cos30゜+isin30゜)z となり
     浮R

       1  浮R   1  ー
   =----(----+----i)z
     浮R  2    2

      1    浮R ー
    =(----+----i)z
      2    6

      1    1    浮R    浮R
    =----xー----yi+----xi+----
       2    2     6      6

     1   浮R     浮R   1
   =(--x+----y)+(----xー--y)i
     2    6      6    2


(行列による表現)
      x
  z= (  )と考えて
     y

@は,
  x’    1  0  x
 (  ) = (     )(  )
  y’    0 ー1 y   
Aは,
 
    x’     1  x
   (   ) = ---- (  )
    y’    浮R  y

Bは,
    x’    cos30゜ ーsin30゜   x
  (   ) = (           )(    )
   y’     sin30゜ cos30゜   y



        1   cos30゜ ーsin30゜ 1   0   x
   f1(z)=---- (          )(      )(   )
        浮R  sin30゜  cos30゜ 0  -1   y

            浮R    1
            ---- ー----  1  0    x
         1   2     2
      =---- (          )(       )(    )
        浮R   1    浮R
            ----   ----   0 ー1   y
             2     2

            浮R     1
            ----   ----    x
         1    2     2
      =---- (           )(    )
        浮R   1     浮R
            ----  ー----   y
             2      2

          1    浮R
         ----   ----  x
          2     6
      = (          )(   )
          浮R     1
         ----  ー----  y
          6     2

          1    浮R
         ----x+----y
          2     6
      = (          )
          浮R    1
         ----xー----y
          6     2

(2) f2(z)について

これらは、以下の5つの写像で成り立っている。
 @ 左へー1平行移動
 A 実数軸を対称軸として反転
     1
 B ----倍に縮小        
    浮R
 C 原点を中心に−30゜回転
 D 右へ+1平行移動

(複素数による表現)

     1                  ー
f2(z)=----(cos(−30゜)+isin(−30゜))(zー1)+1 となり
     浮R

   1   浮R     ー 1  浮R
=(----ー----i)z+(----+----i)
   2    6      2    6

   1    浮R    1      浮R    1    浮R
=(----xー----y+----)+(ー----xー----y+----)i
   2    6     2       6     2    6


(行列による表現)

      1   cos(-30゜) ーsin(-30゜)   1   0   xー1    1
f2(z)=---- (                )(      )(     )+(   )
     浮R   sin(-30゜)  cos(-30゜)   0  -1    y      0

       1    浮R    1
      ----xー----y+----
        2    6     2
   = (                )
        浮R    1    浮R
      ー----xー----y+----
         6    2    6

 以上の(1)(2)のように,図形変換という立場からみて見て,同一のものを複素数
と,行列という方法で2通りの表現が出来る。
 前出の2つの写像で,f1(z)Uf2(z)という集合方程式を考えると,その解が,
コッホ曲線となっている。(下図参照)


1辺の長さ × 辺の数  =  全体の長さ

@

1 × 1 = 1

A

 1        2
---- × 2 = ----
浮R       浮R

B

 1        4
---- × 4 = ----
 3        3

C

  1          8
------ × 8 = ------
3浮R        3浮R

D

 1         16
---- × 16 = ----
 9         9

     ・ ・ ・ ・ ・
     ・ ・ ・ ・ ・
     ・ ・ ・ ・ ・
     ・ ・ ・ ・ ・


  1  n-1           2   n-1
(----)    × 2^(n-1)=(----)
 浮R             浮R

                   2  n-1
 最終的な長さLnは,Ln= (----)     となり,n→∽とすると,Ln→∽
                  浮R

となり,これは,無限大の長さを有限範囲で持つという非常識なことを意味して
いる。(それゆえ,フラクタルとも呼ばれている。)



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