(2009.7.22 皆既日食in奄美大島の幾何学的分析)   2009.7.13
 
 

いよいよあと1週間と少しに迫った,今世紀最大(!と勝手に決定している)の皆既日食,大天文イベントである。

5年前,奄美大島に赴任する際に,「最後の年の夏には・・・」と考えていたけれど,いよいよその年が来てしまった。早いものである。

最近の報告としては,観光客を見かけるようになった(バックパッカーのような大荷物の方々),日食メガネがどの店も品切れになりつつある,そんな大げさな,と言っていた人がなんだか慌て始めた,行事を計画しないように配慮している。といったところであろうか。

自分としては,皆既日食なんてそうそう見られる現象ではないので,ものすごく楽しみなのだが,このページは,そんな気持ちを抑えつつ,若干数学的分析を行ってみた。

(球体ではあるが,見た目上は)円が,円を隠すということは,以前もここで数学的考察を行っているが,このような移動をする事になるのであり,接点を4回持つ事になる。それが,第1接触から第4接触と呼ばれるものである。

2円の共有点が,0個→1個→2個→1個→0個→1個→2個→1個→0個と変化し,1個のときを第n接触と呼ぶ。

下図において,第2接触から第3接触の間が,皆既状態となり,コロナなどが見られると言われる。

以上が,奄美大島のあやまる岬というポイントで見ることの出来る当日の想像図である。

食の始まりは中央上部,食の終わりは左下部分も,ほぼトレースしてある。

時間もあやまる岬での時間を記載してある。(月刊天文ガイド8月号参考資料)

あやまる岬においては,皆既時間は3分22秒である。

 

 

また,皆既日食(total eclipse)(金環日食(または金環食)(annular eclipse)というものもある)の成り立ちを,中学生が理解できる相似図形で分析したものが,下図である。なぜ,地球上でこのような壮大なドラマが見られるのかというと,実は「神の見えざる手」なのかもしれません。

基本データ

 太陽 : 直径 約140万km 半径 約70万km
 月  : 直径 約3500km 半径 約1750km
 地球 : 直径 約1万3000km

 太陽から地球まで,約1億5000万km  月から地球まで,約38万km


例えるならば,地球の大きさを1cmとすると,,,,

 太陽:108cm,月:2.7mm,太陽と地球の距離:115m,月と地球の距離:29cm

どうですか?ちょっと分かっていただけました?大きさの比率が400:1,距離の比率が400:1という偶然の一致,神様のいたずらのような関係があるからこそ,このような天文現象が見られるわけです。

(更に言うと月と地球ともに楕円軌道のために距離の比が微妙に変化します。それに応じて皆既か金環かが決まります。ホント不思議ですねぇ。。。)

 

(解説)

今回は,Mathematicaではなく,GRAPESで皆既日食アニメを作成してみました。相似の図はスタディエイドによるものです。パラメータ変化で月を移動させつつ,1枚1枚bmpファイルを書き出しつつ,最後には,GIAMでいつものアニメ化,調整という図である。

なんだかんだで,1時間ぐらいの作成時間であるが,記録に残す意味でも,自分では「結構良いもの」を作ってしまったなぁ,なんて自画自賛しているところである。

さて,今回の印象に残るところは,

  1. 数学的には,表面上は簡単。
  2. でも,ホントは精密な計算が必要な現象。
  3. それって,神様のイタズラ?
  4. こんな機会に遭遇できた事を喜びたい。

といったところかな。いや〜自然って美しいですねぇ・・・・


さて,この下には,当日撮影できれば,日食の写真を入れようと思う。てるてる坊主でお祈りしなきゃ。 

 2009.7.30更新 上の画像のようにあたりは暗くなりました。ダイヤモンドリングは,・・・こんな感じ,残念。