(2000年センター試験 数学U・Bの微分積分)
2000年のセンター試験で,数学Aの数学U・Bにおいて三次関数の移動に関する問題が出題された。 
(問題)途中省略・・・ 
  (2)aを0でない実数とする。関数f(x)=3ax−(8a+6)x+4a+6 
                        x 
    があり,関数h(x)を,h(x)= f(t)dt と定める。 
                        0 
    このときx=0およびx=2におけるh(x)の値と微分係数は,それぞれ 
    h(0)=□,     h(2)=□ 
    h’(0)=□a+□, h’(2)=□  である。 
    0≦x≦2の範囲でh(x)が正の値も負の値も両方取るのは,  
       □  
    a<----  のときである。  
       □  
これが(1)は省略したが,(2)の問題である。  


更に解答も一部省略するが, 
   積分すると,h(x)=ax−(4a+3)x+(4a+6)x となる。 
   これに代入して,h(0)=0であり,h(2)=0である。 
   また,微分するとh’(x)=3ax−2(4a+3)x+4a+6であり, 
   これに代入して,h’(0)=4a+6,h’(2)=−6である。 

前置きが長かったが,やっと赤の部分の解説と図形的意味である。 
   h(0)=0は,定点(0,0)を通ることであり,同じくh(2)=0は,定点(2,0)を通ることである。 
   また,h’(2)=−6は,(2,0)におけるの接線が負,つまりグラフは右下がりを表す。 
   ----これでやっと上のグラフが分かってもらえたかな? 
     aが変わる事によって,グラフが上のように動く事を意味する。 
   問題の0≦x≦2において,正の値も負の値もとるようにとは, 
   極小値が0≦x≦2の範囲内にある事, 
   つまり, 
   x=0における接線の傾きであるh’(0)=4a+6が,右下がり(負)になればよい。 
    ∴4a+6<0より 
         −3  
      a<----- 
          2   である。 


(解説) 
非常に誘導が親切である。 
単に,0≦x≦2の範囲で,正も負も・・・とだけ出題したなら, 
定点(0,0)と(2,0)は見つけ出せずに,正答率は低かったであろう。 
「二次関数の移動による頂点の作る軌跡」などは,定番としての出題であったが, 
ついに「三次関数の移動による条件の検索」の世界まで突入した。 
いくら誘導があるとはいえ,計算だけには頼れない,イメージが必要な良問であった。
しかし,例年の問題なら,順序は微分してから積分(それも面積)だったが,
積分が先だったり,面積を問わなかったり,毛色の変った問題と言わざるを得ない。