めざせ!革職人っ


ある時,本を持ち歩かなければいけない状況でしかも写真も撮りたいということになりました。というわけで革製品の好きなボクは革のリュックを探し始めました。探している間に今度はワンショルダーがカッコイイと思うようになり,ボテッとしていないものを探すようになります。う〜んいざ探してみるとないですね。もともとリュックってのはボテッとしたものが多くてしかもスーツなんか来た日にはちょっと恥ずかしいです。(ひょっとして感覚が古いのかもしれないですけど)。実際できあがってみるとランドセルみたいでスーツにもあんまり合わないんですけどね。笑。2作目は黒の革でもっと薄くて「すたいりっしゅ」なのを作ります。あくまで予定ですけど。
 まぁ そんなこんなでまずはスケッチから始めました。スケッチは格好いいんですけどねぇ。


作成過程



やっぱり基本は大事でしょう。
・・・というか全く何も知らないので本を買いました。
基本的な縫い方とかが載ってます。あとインターネットで職人のされているのレザークラフト入門編なども結構見ました。
どうやら普通の針と糸ではダメなようです。切ったり縫ったりというのはやっぱり専門の道具でないと厳しいみたいですね。
ここで初めて知ったことなんですが,革って縫った最後は結ばなくて良いんです。これはびっくりしました。革が糸を締め付けてるのでほつれていかないのだそうです。とくに手縫いだと使っているうちに糸が切れてもほつれないんです。これはすごくいいですよね。


まずは革の購入から。
普通のお店に行ったんですが,かなり値段も高くて厚さも薄いものしか置いてなかったので楽器でもよく使ってるオークションで購入しました。
革と言ってもいろいろあるんですねぇ。何にも知らなかったんですが,今回使うしっかりした革はサドルレザーとかヌメ革ということで出ていました。
同じ牛革でも仕上げによってかなり柔らかさとか表面も違うようです。
サドルレザーの他に黒とベージュの革も購入しました。この二つは柔らかいものです。
ちなみにトカゲの革とか山羊革の他にもエイの革ってのもありました。笑。


 革が揃ったところでいよいよ道具です。
道具もいろいろあります。まずは針。裁縫用と違って先が丸くなってます。
ナイフというか皮切り包丁,溝掘り,予備穴開け,穴開け,ペンチ,手縫い糸,革スキなどなど全部独特なものだらけです。何度も買いに行くのがいやだったのでレザークラフトセットを買いました。あと裏の仕上げ剤とかコバ仕上げ剤も。
取っ手や木彫り用の彫刻刀などはホームセンターで買いました。
あ ファスナーと裁縫道具は100円ショップです。最近の100円ショップはすばらしいです。


 次に正面と横から見た図を方眼用紙に描きます。これを基に型紙をつくります。
型紙はトレーシングペーパーという半透明の紙に設計図から写して切り取ります。
それを両面テープで革に貼り付けて切っていきます。
ちなみに正面図が描いてある場所に横から見た図も一緒に描きます。ゴチャゴチャして見えますが慣れると非常に見やすいです。同時に見れるし,確認も楽なのでこの方法をよくとります。といっても木工の話ですけどね。


 まずは土台になる背中に当たる方から型紙に沿って切り取ります。画像からはわかりにくいですが4辺とも真ん中付近が少し膨らんだ形になっています。レザークラフト用の刃物は変わった形ですが非常に切りやすかったです。ただ,とって部分の切り抜きは小さな曲線なので細工用のナイフの方が切りやすいです。まぁ強引に革用ナイフで切りましたけど。爆。
厚さは3mmです。


 土台に合わせて中の書類入れ用の部分を切り取ります。土台との間にA4サイズの譜面が曲がらないように入れられます。リュックって必ず紙の端っこが曲がるのが嫌なんですよねぇ。入れ口の部分も直線よりも斜めの方が入れやすくデザイン的にもいいだろうと言うことでこの形に決定です。
これにチャック付きのポケットが付きます。
中身に使うので柔らかい黒の革にしました。厚さは2mm。

  
 中のポケット部分を縫います。
財布,携帯,ポケットティッシュ,タバコが入る部分です。
普段使っているウェストバックの高さがCDケースぎりぎりだったのでこれは少し余裕ではいる高さにしてあります。ただ使ってみて思うのは背中側に財布とかを入れるとジャマです。笑。下の方はペタンとしてるのでいいんですけど,譜面を入れる時に上側がジャマになります。
 革が柔らかいため普通の針と糸で縫ってます。爆
職人さんが知ったら唖然とするかもしれませんが,良いのか悪いのかは確認してません。
縫っているうちに伸び縮みするためマチ針で固定してから縫いました。
ヌメ革を縫う時はまず穴を開けてから糸を通していくのでそこまで力はいらないんですが,この革は逆に4枚重ねの部分とか手が痛くなるほど力がいりました。

 
 中身もできたので土台と側面を一緒に縫いつけます。その準備として縁から5mmの所に溝を掘ります。その後ニードルみたいな専用工具で一つ一つ穴を開けていきます。これをしていないとレザークラフト用の針は先が丸いので針を通すことはできないんです。ただ,穴を開けるのはあんまり力がいらないです。さくっという感じに楽に突き通せます。
うっかり忘れるところでしたが,縫いつけたあとには金具の取り付けができないのでこの時点で縫いつけておかないといけないんですよね。ただ見た目はいいんですが,力が逆にかかるので上下逆に縫いつけた方がよかったです。
ちなみにこの金具はホームセンターで何かの取っ手として売っていたものです。それにしても丁度良いものがあったもんです。

 
 いよいよ縫いつけ。側面は入れ口の関係とはみ出し防止の加工のため角張った感じになりました。右側を見るとわかりますが,縫い合わせ部分が90°に曲げてあります。革の良いところは水に浸けて曲げておくとその形で固定されるところです。楽ですよねぇ。入れ口の所もそれでやりました。ただ,水に濡れた部分は少し変色します。ホントはきちんとしたやり方とか薬品があるんでしょう。
端っこは曲げやすいように2mmくらいに薄くしてあります。


 いよいよ表側を切り取ります。この部分はかなり大きな材料になりました。後で気づいたんですが一カ所傷が付いてました。まぁしょうがないです。
 これも土台と同じように両端が曲線になっています。ここら辺になると革の切り方も慣れてきました。
ファスナーをつけるところのコバの処理をしました。
ファスナーは蓋をした時に見えない長さにしてありますが,できるだけ大きく開くように蓋の両端の長さぎりぎりまでに設定します。
 これは縫い終わってからですが中蓋部分が堅すぎたので削いで薄くしました。これも専用の道具があります。
厚さ調整が楽にできるというのも革のいいところです。

  
 ファスナーですがもちろんこの長さにあったものはないので市販のものを買って留め具を移動しました。
ペンチで一回はずしてからまた締め付けます。結構ぴったりの長さにできあがり一安心。
ついでに余分な部分のプラスティックもほどいてはずしました。
ファスナーの布部分って割と自由が利くので縫い合わせは割と楽でした。

 
 ファスナーも取り付け終わったのでいよいよ形の完成に向けて縫っていきます。
革は穴を開けた後両方から糸を通していきます。通した後にきゅっきゅっと引っ張ってまた次にという形になります。
 右側は入れ口の方です。

 
 直線部分はいいんですがここの曲線部分は難しかったです。しかも最後は長さを少し余裕をもって切っていたので両サイドが縫い終わってからの作業になりました。水をつけて折り曲げながら縫い合わせました。
底部分は丸くなっているのでますます難易度が高くなります。
こうやって見るとなんか箱みたいです。

  
 ついに蓋です。
で,その前に取っ手部分をくりぬいて縫い合わせます。今回は木工用の彫刻刀を使ったので綺麗にできました。
これも水をつけて曲がる場所の形をつけます。
両サイドは大きさがはみ出さないように曲面にしてあります。
ここまでくれば後少しです。

 
 ここで上の金具も取り付けます。結構縫いつける順番って重要なんですよね。縫えなくなるから。
ここまできて元に戻るというのは精神的ショックが大きすぎるので順番に関しては非常に慎重です。笑
そういえば中蓋の角を落としてみました。ちょっとはデザインっぽくなったようです。

  
 いよいよ蓋のカットです。うまくファスナー部分が隠れるように,ベルトの位置が下になりすぎないように気をつけました。ベルトの先が斜めカットになっています。これも切っている途中に思いつきました。
・・・・・結構いきあたりばったりです。
ここまでくればあとは蓋の留め具とまわりを縫って終わりです。
完成間近なので作業スピードもUP。

 
 留め具は本体につけずに別にすることにしました。
後に出てきますが留め具を本体につけると
 1.蓋を閉める時に押すため,革が柔らかくなるとへこんでしまい閉めにくい。
 2.本体の中に金具が出ることになるのでカメラなどを入れた時に傷を付けないか心配。
 3.本体に穴を開けたくてもポンチが使えないため開けられない。爆
というわけでベルトを新たにつけることにしました。
 もう一つ変更点は中蓋が指に引っかからなくて開けにくかったのでつまみをつけました。

 
 縁取りを縫います。下のベルトは根本のみ土台に縫いつけてありますが,4枚重ねなので非常に力がいりました。
針も1本折れてしまいました。
針が折れるのは穴の部分が折れるんですね。
今まで知らなかったです。
あとはベルトの位置を合わせてきつめの穴とゆるめの穴を開けます。

  
 これがその留め具です。ポンチで穴を開けた後,表と裏から挟み込みます。ネジ式になっているので取り外しもすぐできるのでいいです。
 逆に穴の方ですが,この画像ではわかりにくいでしょうか。ポンチで穴を開けたあと上の向きに少し切れ目を入れます。そうするとはめる時には広がるけれど,堅いのではめると穴の大きさに戻ります。
実際,取り付けが簡単で金具自体が小さいというのもいいです。


 一応 完成っ。
あとはベルトをつけて終了です。
いやいやホント地道な作業の繰り返しが多いですね。
頭の中が真っ白になりそうでした。爆
あ そういえば仕上げに塗る薬品とかって何塗るんでしょうねぇ。爆


完成品


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