店主のつぶやき あまみ庵の店主:森本が雑誌や新聞に書いた文章を掲載します。

南日本新聞:南点(H11.7.7)

官主(かんぬし)主義

  「アマミノクロウサギ生息分布調査報告書」の情報開示をめぐる 控訴審で敗訴して、これを公開した鹿児島県教育委員会に対して 、「自然の権利」の四団体は六月二十八日に再度の公開質問状を 提出した。
 (1)クロウサギへの影響は軽微とした「県文化財保護審 議会」の答申の根拠と経緯。
 (2)県教委は「同審議会」に「影響は 軽微」との見解を示した資料を提出したか、などだ。公僕として の義務と責任もきつく問われていた。

 私も「環境ネットワーク奄美」の一会員である。県教委の初回の 回答書も読んだ。今どき斜陽のゴルフ場より、奄美の固有の自然 を生かす方向性こそが県民の利益ではないか。
 県鳥の奄美のルリ カケスなどが絶滅したら困るだろうし、もっと未来へ向けた具体 的で真剣な再回答に注目したい。

 思えば一九九三年の「八六水害」の時にも、奄美の黒糖収奪の財 源で創られた石橋たちが「同審議会」のために葬られてしまった 。
 この時も「原則非公開」の「密室審議」だった。戦後、天皇に 代わって国の主権者になったはずの国民はいつもカヤの外だ。

 律令体制以来この国はいまだに臣(おみ)たちの意のままだから、 「民主(たみぬし)主義」の名を借りた「官主(かんぬし)主義 」ではなかろうか。
 その官主たちが「特権だけは守るたい」と開きなおったのが七月 一日だった。「オンブズマン鹿児島」に敗訴して、懇談会の出席 者名簿の公開を迫られた県と「県監査委員会」は、最高裁にまで 直訴いや上告したからだ。
 「行政情報は原則公開」、「県の文書 管理体制や情報公開条例の不備」などの指摘は今や常識である。
 黒いお顔の「多の官さあ」たちが言う「法的安定性」など、割れなべに閉じぶたの詭弁でしかない。怒髪は天をつく。

 私たち納税者は、オカミたちの不正な利益を再生産するシステムを白日に さらして許さない権利と、主権在民・住民自治を獲得していく責 任があるのではないか。

直前へ戻る INDEXへ