今月の一押し

[1999.03]

『発信する奄美1999−奄美から奄美へ
 そして海彼へ』

1999.02.07 定価 \500(税別)
 2月7日(日)、名瀬市の奄美文化センターで、奄美群島内で活動する九つの研究会が初めて一堂に会した。本書は、発表者たちのレジメをまとめたものだ。
 目次からもわかるように、40年間の歴史ある「奄美郷土研究会」を筆頭に、「奄美の自然を考える会」、「奄美女性史サークル」、「奄美瑠璃掛巣之会」、「ゆらおう会」、「喜界島郷土研究会」、「しまがたれ同好会」、「徳之島郷土研究会」、「沖永良部郷土研究会」がそれぞれの会の「由来と現状と展望」について報告した。 若者の育成、郷土研究会同士の横の連携、行政との連携、活動資金…など、奄美で表現活動する人たちの課題が、つぎつぎと問題提起され、フロアーからも活発な意見交換が出され、刺激的な会となった。
 この集いには、ぼくも実行委員として当初から関わってきただけに、会が成功裡におわり、内外から「このような群レベルの集いを今後も定期的に開催する必要性を強く感じた」(南海日日新聞)という評価をいただくと、一年か二年おきくらいのスタンスで継続していきたいと念じている。
  基調報告(間弘志)の「奄美人の表現・表現される奄美―名瀬市を中心として1994〜98出版状況」では、この5年間に奄美群島で発刊された書物は四百十七冊。これを地域別に分類。人口比にすると出版王国の沖縄県をもしのぐ実数が初めて明らかにされたが、「たんに出版が増えたからで終わらせず、今後は出版物の中身の吟味も必要」と、作品に対する批評の必要性も指摘した。
 奄美の出版活動の渦中にあるあまみ庵としても、批評のまなざしだけは磨き続けていていきたい、と再認識させられた会であった。

(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)


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