今月の一押し
['97.05]
 「図鑑 奄美の野鳥」
 1997年3月・奄美野鳥の会発行
 新書版・288p・2500円+消費税
表紙
<<主な特徴>>
カラー写真(一部イラスト)
これまで記録された奄美の野鳥291種のうち236種についてカラー写真(一部イラスト)で紹介。写真はすべて奄美で撮影されたもの。
索引
標準和名および学名/英名
探鳥地の紹介
奄美群島の代表的な探鳥地の紹介やアクセス方法などを掲載。
 田中一村も描いたクッカル(アカショウビン)が好きだ。特に今ごろキョロロロロ−と鳴きながら、春から夏にかけて奄美・沖縄地方で繁殖して、秋には東南アジアに戻って冬をすごすリュウキュウアカショウビン(別亜種)にあこがれる。来世にはできることなら、リュウキュウアカショウビンに生まれ変わりたい、とキョロロロロ−を聞くたびに想うほどにも、ぼくは琉球弧と東南アジアが好きなんだ。毎年、往復できたら嬉しくてキョロロロロ−と歌いたくもなるだろう。

 この春、奄美野鳥の会が、奄美で記録されている291種のうち55種の迷鳥を除く236種を写真と解説つきの図鑑にコンパクトにまとめてくれた。ありがたい。全長・鳴き声・生息時期・生息分布、方言名などが、留鳥・夏鳥・冬鳥&旅鳥・旅鳥・迷鳥に分類されている。

 野鳥にとっての命は名前のとおり野生、自然だ。だから野鳥の数は奄美の自然の豊かさのバロメ−タ−ともいえる。ちなみに、世界の野鳥種は約9000種、日本で555種らしい。小さな奄美群島だが、日本列島の半数以上が確認されていることになる。
 その約9割が渡り鳥だが、奄美群島あたりにしかいない固有種の宝庫でもある。ルリカケス(天然記念物・危急種)、オオトラツグミ(天然記念物・絶滅危惧種)、オ−ストンオオアカゲラ(天然記念物・絶滅危惧種)、アカヒゲ(天然記念物・危惧種)、カラスバト(天然記念物・危急種)、アマミヤマシギ(絶滅危惧種)などの留鳥たちだが、日本復帰後の振興開発事業による公共工事のおかげで、文字どおり絶滅寸前の状況である。

奄美群島の主な探鳥地のガイドも載っている。

(本処あまみ庵代表:森本眞一郎)

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