今月の一押し


奄美学 その地平と彼方

「奄美学」刊行委員会
2005年4月15日発行 南方新社/5,040円

奄美のシマジマから発信する
「奄美の人が奄美を認識し自己を規定していく
奄美学を確立する時期にきている」(1974)
奄美学の提唱者、山下欣一博士の退職記念刊行


奄美は、琉球弧の北限であって、本州弧の南限
ウチナーとヤマトゥとの重なり合う入会地である。
だから、ヤポネシアの根っこでもなく、尻っぽでも
なく、ニッポンの「へそ」であり、淡路島のように、
与那国島のティダンドゥクル(太陽の所)のように、
地球の中心でもあるのだ。
 その奄美が、山下欣一をめぐるプラネットたちに
よって、奄美から、奄美を、くぐもり声で低く深く発
信する。耳を澄ませて聴こう。

 関根賢司 静岡大学人文学部教授


目次

巻頭写真 水の島・奄美  常田守1p

序 奄美学 その地平と彼方  刊行委員会11p

第一部 座談 奄美の未来を探して17p
−奄美学 その地平と彼方−
瀬戸内町立図書館・郷土館 文化講演会、座談会 2003年12月14日
講演要旨  山下欣一95p

第二部 奄美学の地平103p
T 分かちもつ世界
奄美・神の行方−ノロ・異人・弁財天  高橋一郎106p
ノロ聞き書き抄−奄美・大和村大棚  西田テル子140p
奄美の初穂儀礼の構造−名瀬市大熊の事例から  久留ひろみ191p
「そえうたさかしまごと」と「サカウタ」の関連  松山光秀233p
「ぐぃくまぎり」に関する一考  児玉永伯251p
昔むんがたり  松夫佐江263p
喜界島・中里の「ソーメンガブー」小考  町健次郎276p
学校の怖いハナシ−名瀬市立名瀬小学校  泉和子293p
祈りの風景  越間誠306p

U 時空への位相
奄美の一字名字と郷土格について−その歴史的背景  弓削政己318p
奄美群島の名字について  純田宏351p
古代の南島経営と奄美の地名表記考  林蘇喜男372p
地名に見る「青」の思想  福島義光394p
南西諸島の洞穴墓  先田光演399p
奄美グスク成立前夜  中山清美417p
喜界島からの発信  兜坂岩二440p
薩摩藩の山林・土地政策と奄美島民の暮らし  義富弘445p
大宰府へ献上した赤木考  楠田豊春470p

V 明日への回路
「奄美ルネサンス」の呼称をめぐって  間弘志474p
二十一世紀における島興しへの視点  崎田実芳489p
復帰五十周年を終えた奄美  久岡学498p
奄美が奄美で在り続けるために  薗博明527p

W 思いと想いの間で
私の中の奄美  水間忠秀540p
足許・この一点から  西シガ子546p
奄美時代の山下欣一さん  藤井令一550p
資料 シンポジウム・奄美学(1974年)561p
山下欣一 著書・論文・雑纂622p
発刊への想い−あとがきに代えて  山岡英世623p


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