こんな本入りました!
[1998.11.24]
食を愉しむ

シマのごちそう南遊記

シマのごちそう南遊記

全琉球・まるかじりの旅

著:尾竹俊亮
ボーダインク・1998年9月30日第一刷発行
四六版・P221・\1,600


 帯に「シマにはいれば、シマの食に従うが、南島旅人(タビンチュ)の生きる道」「沖縄グルメを笑い飛ばせ」とありますが、その言葉通り、ただ「ドコドコの店でナニナニがうまかった」「こんな食材が調理されて出てきた」という食べ歩きの本ではなく、島で知った食材を自分で調理し、とことん味わっています。本当に島が好きな人なんだなと感じました。
 トカラから沖縄、八重山までの各島々の食材、料理、そして人々との触れ合いを軽いタッチで書かれていて、椎名誠のエッセイとどこか雰囲気が似ています。一生懸命さが伝わってきます。
 奄美に関するものも多く、リゾートホテルできれいに盛り付けられたエラブチ(島の魚:ブダイ)を食べながらも釈然とせず、大和村・国直の民宿で自ら仕入れたエラブチを民宿のお母さんの忠告も無視して自分なりに扱って満足している話、はじめてスモモを食べたときの記憶が忘れられず産地にまで行ってジャムの作り方を教えてもらう話、偶然ナリの実(ソテツの実)を分けてもらい持ちかえってからナリ味噌をつくるまでの顛末などなど、すべてに島の食とそれにかかわる人々の表現が楽しく読めます。また、一方では島の食に関してや島に来る人々への批判も書かれています。
 ”奄美に今度行くけど、おいしいものはなんだろう”と思われる方、お薦めします。
 この本を読めば”沖縄とおなじだろうな””同じだった”ということにはならない、と思います。
(mizuma)


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こんな本はいりました![98/11/24]