瀬戸の灘 

                        
(株)西平酒造   大島郡瀬戸内町手安754−1
Tel  09977−2−0045
ゲットした日 : 平成14年8月1日
                     

  
瀬戸の灘  小生より2歳年長で鹿児島市で歯科開業している知人の奥様が亡くなられ、通夜に出かけた。 高齢の方の通夜と異なり、若い方のそれはいつも沈痛な物である。 残された知人や子供さん達のことを思うといたたまれない気持ちになるし、自分に同じような不幸が起きたら等と考えると、とても知人のように気丈夫には振る舞えないと暗澹となる。 
  帰路沈んだ気分でハンドルを握っていると、左前方の酒屋の看板をやり過ごしてしまった。 こういう気持ちの時は清めの塩ならず焼酎を買って気分転換を、とばかりに引き返して店内へ・・・。(どういう関係があるんじゃ!(-ー;)

  店内は結構黒糖焼酎の品揃えが豊富である。 鹿児島市内には奄美出身者も多いのだろうが、黒糖焼酎ファンも確実に増えていることを感じる。 やっぱい沈んだ気分の時は黒糖じゃっどね!と言うことで、買った焼酎がこの「瀬戸の灘」である。(^^ゞ)

  西平酒造のある瀬戸内町は国定公園奄美大島本島南部大島海峡に面している。 昭和31年4町村の合併によって出来た同町は、13,000人程の人口を擁するが、中心地古仁屋以外の地区は県下有数の高齢化と過疎に喘いでいる。 しかし集落のあちこちに昔ながらの奄美の生活が息づいており、懐かしい心の故郷に帰ったような眩しい錯覚を憶える。

  ラベルは大島海峡の波を意匠化しており、地焼酎らしい雰囲気を漂わせている。 一次は甕仕込み常圧蒸留である。 アルコール度数30度。 一升瓶以外に5合瓶もあるはず。

  生で飲んでみた。 黒糖の濃醇な薫りが立ち上がり、長期貯蔵酒のようなまろやかな舌触りで、独特のコクが前面に出ている。 
  ロックにすると、甘味がグンと引き立ち、さらに飲み易くなる。 やはり黒糖焼酎はロック水割りだよねと唸ってしまう程で、まさしく夏向きである。
  お湯割りにすると、黒糖のコク深い甘味を存分に感じられ、それでいて芋焼酎のように柔らかく優しい。 これは旨い! たんに小生が黒糖焼酎の湯割りに慣れたと言うだけではなく、奄美の人達がお湯割りを愛飲するのも納得の秀逸さなのである。

  味を噛みしめ噛みしめ唸らせる実力は正調黒糖焼酎の神髄とでも言うべきか。 飲む度に大島海峡に浮かぶ加計呂間島の緑の島影や島の人々の人情が思い出され、ついついグラスが進んでしまう危険な逸品である。(^_^;)
  どの様な飲み方でも美味しく、これはもうお好みでどうぞと言わざるを得ないでしょうな。(^_^;)

                         平成14年9月22日記載